マンション管理士という難関資格に晴れて合格しても仕事を見い出せない。そういう人が私の身近にたくさんいる。各都道府県に設けられている協会団体に入会しても、飯が食えるわけではない。
マンション管理士になっても仕事がない
それが現実だと思う
何を成すべきか?
マンション管理士の成すべき役割というのは、机上の理想論を学んだだけではそれを知ることはできないだろう。現場でより多くの声を聞いて、そこから学び知りうることだと私は思う。
顧客となる管理組合は、机上の知識よりも経験によって得られた知識の応用(知恵)の方を望むだろう。単なる机上の知識だけなら、それはただのペーパーマンション管理士に過ぎない。
経験・年齢・学歴に関係なく誰でも受験できる、この資格の盲点とも言える。本来なら、分譲マンションの管理の実務経験5年以上、そんな条件を加えるべきだと思う。
マンション管理士の期待とは裏腹に、マンション管理士の存在すら知らない、仮に「知っていた」としても、「助言ならプロの管理会社がいるだろう」、このような考えがそこにあるとすれば、仕事には結びつかない。
そこには管理会社には出来ないこと、マンション管理士でしか出来ないこと、それを見出し、その必要性を管理組合に認識してもらう必要がある。既にそこを知っている管理組合なら、状況によってはマンション管理士に相談するだろう。
私の管理会社時代に、管理会社変更時のコンサルティング、規約や管理委託契約書の見直しなど、外部の専門家(コンサルタント)に依頼したという話をよく耳にした。そこでは管理会社の役割と外部の専門家の役割を、管理組合側で完全に区分けされているようだ。
マンション管理士で生計を立てたいのなら、まず経験を積むことである。管理組合の悩みやマンションの問題というのは、顕在的なもの潜在的なものを含め、数多く存在する。机上で得られる知識は理想を生み、経験から得られる知識は仕事を生む。
何事も経験に勝るものはない。とにかく経験を積み上げるしかない。
この経験から色んなことが見えてくる。マンション管理士が創設された本当の理由、マンション管理士にしか出来ない仕事など、それがはっきりと見えてくるだろう。
これが見えれば、何を成すべきかが分かる。そこに更なる仕事が生まれる。
私は長らく管理会社にいたのだが、管理会社は管理組合の真のパートナーにはなれない、これが持論である。管理組合には真のパートナーは不可欠だ。そこにマンション管理士としての役割、そして未来があるように思える。
管理会社では事足りない
これまでマンション管理は、管理会社主導で行われてきた。管理組合の形骸化、その弱点を利用して管理会社はやりたい放題の商売をしてきたのだ。これらはこのブログサイトの多くの記事で語っている。
そのつけが、今の間違いだらけのマンション管理である。これはマンション管理業界が作り上げた汚点とも言える。
管理組合と密接に関わる管理会社は、そうは言っても強い立場にある。それは管理組合の無関心層が多いからに他ならない。
間違いだらけのマンション管理を変えるには、外圧が必要になる。これまでマンション管理の問題点を指摘してきたNPO法人も、今では賛助会員の温存の場と化している。
管理組合のための組織が今や業者のための組織になっている感は否めない。そこで業者との癒着・談合が疑われてもおかしくはない。
かつてデべロッパー系列の管理会社を批判してきたNPO法人、以前は加入すらできなかったが、今ではその管理会社の名が連なる。そこに矛盾を感じるのは私だけではないだろう。
今、その外圧を担うのはマンション管理士しかいない。正義感に満ち溢れたマンション管理士である。
マンション管理の日常的な問題のみならず、今後大きな社会問題と化すマンションの廃墟、マンションの建替えは深刻な問題となる。これらを助言し、支えられるのはマンション管理士の皆さんではないのか。
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