マンション管理士 管理会社

マンション管理会社とマンション管理士の違いについて

2017年11月2日

 

唐突な質問になるのだが、皆さん、マンション管理会社とマンション管理士の違いが分かるだろうか。

東京都が作成している資料の中にマンション管理ガイドラインという冊子がある。そこにマンション管理会社とマンション管理士について、このように書かれている。(注記:以下のマンション管理ガイドラインは、2017年11月にネット上に掲載されていたものです。今は有料化になっているため、内容が異なる場合があります。2022年7月更新)

 

マンション管理会社(管理業者)

マンション管理業者は、受託業務を適切に実施するとともに、管理組合のパートナーとして、管理組合の運営等に対し、専門的見地から提案や助言を行い、管理組合が適正かつ円滑に管理を行える環境を整え、管理組合の活動が活性化するよう努める。

<補足>
マンションの管理は、管理組合が主体となって行うものである。マンションを管理するに当たっては、法律、建築、会計、税務などの専門的な知識が不可欠であるが、管理組合の役員や各区分所有者はその知識・経験を十分に持っていないこともある。このため、マンション管理業者は、受託業務を適切に実施するとともに、管理組合にとって身近で信頼できるパートナーとして、その専門性を活かして、管理組合が適正な維持管理を行えるよう、組合を支援していくことが必要である。

マンション管理業者は、その役割を果たせるよう、常に法令等の改正に気を配り、管理に関する最新の情報を得るように努めるとともに、管理組合に情報提供を行うことが重要である。

マンション管理士

マンション管理士は、マンション管理に関する正しい知識を広め、管理組合の運営や建物の修繕等に関して、専門的知識をもって、管理組合や区分所有者等の相談に応じ、適切な助言等を行うよう努める。

<補足>
マンション管理士は、マンション管理に係わる関係者の理解を深めることにより、居住者の保護や良質なマンションストックの形成を図るとともに、マンション管理の適正化を推進することをその活動の目的としている。このことから、マンション管理士は、専門家としての社会的信頼の獲得と信用の維持を図るため、法令等を遵守し、知識と経験を活用して、公平・公正に業務に当たることが必要である。

特に、マンション管理士が外部専門家として管理組合の役員になる場合は、公平・公正に業務を執行するとともに、管理組合の利益を損なうことのないよう、業務に当たることが必要である。

マンション管理士は、外部専門家として管理組合の役員になる場合、判断・執行の誤りによる財産棄損に係る賠償責任保険への加入に努めるとともに、保険限度額の充実等にも努めることが重要である。

マンション管理士は、その専門性、中立性から、行政から施策の推進に関する協力を求められた場合は、経験の蓄積の場と捉え、積極的に協力することが重要である。

(東京都「マンション管理ガイドライン」一部引用)



このガイドラインではそれぞれの役割について説明がなされているわけだが、これを読まれて果たしてどこまで理解できるだろうか。

ここから先は、いつものくどい私見による解説となる(笑)。

マンションの入居開始と同時に管理会社が既に決まっていて、管理組合と管理会社との間で既に管理委託契約が交わされている。(同意書による承認販売方式

入居時に管理会社が既に存在しているわけだが、そこで管理会社に求められているのが、ガイドラインの記述にもあるように「管理組合にとって良きパートナー」である。

私が思うに、ずいぶん昔から管理会社は存在しているわけで、仮にガイドラインの趣旨に沿ってマンション管理が適正に行われているのであれば、マンション管理士は創設されていなかっただろう。

なぜなら、マンション管理士を設ける必要性がそこにないからである。そしたらなぜ国はマンション管理士を創設したのか、そこが重要なポイントになる。

ガイドラインのマンション管理会社の記述の語尾にある、「努める」「必要である」「重要である」という言葉がくっ付いている。それが実情として出来ていない、実情として適正な管理が行われていないから、マンション管理士が創設された。そう考えると合点がいく。

マンション管理会社とマンション管理士の違い、このガイドラインを読んで理解できる方は、かなりマンション管理について勉強されている方だと思う。

多くの方は、これを読んでもその違いにきっと困惑するのではないだろうか。

人によってはマンション管理士に必要性を感じないと思われる方もいるだろう。管理会社がいるのになぜマンション管理士を必要とするのか、総会でこの話が上がっても、その必要性を十分理解できなければ、そこで話が終わってしまう。

同じ「助言」でも、マンション管理会社とマンション管理士とでは、それは大きく異なる。そこには、マンション管理士にしか持ち得ないものがあるだらだ。それは管理組合側の立場と中立的な立場に立った助言にある。

マンション管理会社の役割の中にパートナーという言葉が出てくるが、マンション管理士の役割の中にパートナーという言葉が出てこない。中立的な立場ということでマンション管理士には敢えて用いられていないと察する。

深堀すると、管理会社に足りないもの、求められるものがパートナー的な役割と解する。

個人的に思うことは、このガイドラインには出てこない管理組合にとっての真のパートナー、これがマンション管理士の役割のように私には思えるのだが…

 

 


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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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