先日、知人のマンションを訪ねた際にエレベーター内の目立つ箇所に1枚の書面が貼られていた。私は部外者であるが、目に付く場所に貼ってるからつい読んでしまう。
「消火器の交換費用について」というタイトルで差出人が管理組合理事長名、そして区分所有者の皆様へと記されていた。
太字で交換費用が書かれていたのだが…
消火器交換費用 2本交換〇〇円
この掲示書面を見て感じたことが2つある。
ひとつは、情報開示は管理組合にとって必要なことだと思うが、この内容の書面をわざわざエレベーター内に貼る必要があるのだろうか…
もうひとつは、消火器の交換費用が強調されているのだが、費用がうわ、高っ!(☜ これ本当に笑えない)
掲示書面は部外者の目に触れ、内情を晒す情報になったりもする。詳しくはこちらの記事👇
部外者だから関係のないことだし、干渉するのもよくないことだ。それは分かっているのだが、どうしてもそこが気になった。
知人宅でその話をすると、管理会社がつい最近変わったと聞かされた。当初のデべロッパー系の管理会社から独立系の管理会社に変わったそうだ。
何かと情報開示に手厳しい住人がいるから、敢えて人目に付く場所に掲示しているそうだが、私には嫌みに思えてならない。誰の指示なのかは聞かなかったが、というか知りたくはない(笑)。
管理委託料が不当に高い、それに見合わないサービスだったから管理会社を変えたそうだが、管理会社が変わった途端、何かと修繕が増えていることも聞かされた。
以前の管理会社が放置状態だったから、色んな修繕が発生しているのは理解できるが、費用が高すぎるとその知人は自覚していた。
私の知人は建築関係の仕事をしているので、私が言うまでもなく、消火器の交換費用の件は承知していたのだ。
独立系は管理委託料を安くしてマンション管理受注にこぎつける。競争原理が生まれることは管理組合にとって良いことだと思う。
だがしかし、管理委託料という狭義のコストだけで管理会社の良し悪しを判断すると後で痛い目に遭う。
長期的なトータルコストを鑑みれば、管理委託料というのは確かに大きなコストではあるがその一部に過ぎない。
修繕費用、交換費用は、個々には小さなコストだが、それが積み上がれば、やがては大きなコストになる。大規模修繕を含めれば管理委託料よりも大きなものになる。
独立系の管理会社は、損な商売はしない。管理委託料を抑えれば、他の部分でそれを補う。(詳しく知りたい方はこちらのブログ👇を読んでほしい。)
消火器は法的に定期交換が必要になるが、これはほんの一部に過ぎない。総合的な考え方として、このように持つと良いのではないだろうか。
例えば、予期せぬ修繕、この多くは管理組合が加入している損害保険で対応できる。例えば台風などの自然災害、最近よく耳にする水災による被害も増えている。なので、損害保険の補償内容をマンションの立地環境などの実情に見合う備えが必要になる。
定期交換が必要なもの、設備関係の更新だが、その多くは更新周期(実績値)が既にデータ化されている。なので、長期修繕計画に正確に記す必要があろう。
消火器も定期交換の一部になるのだが、単体は軽微なものでも量が積み上がればコストも高くつく。一斉交換した方が安くなるケースもあるから比較検討は行った方がいい。
軽微な修繕は、一般会計から支出されがちだが、定期が付くもので一括かつ計画的に行えるものは長期修繕計画に入れた方がいい。
突発的な故障、修理に至る前には、必ず予兆というものがある。そのために定期に建物や設備の点検を行っている。故障すると不便になるもの、例えば給水設備が故障すると生活に支障を来す。故障すると危険へと変わるもの、例えば消防設備が故障すると安全性が損なわれる。
これらも同様に多くの故障履歴によって交換周期がデータ化されている。大手の管理会社の良い所、それは膨大な過去の履歴を所持している。これを活かさない手はない。
マンション管理とは、生活に支障を来さないため、安全性を低下させないために行うものだ。
消火器から、話が飛躍してしまったが、消火器1本のコストを軽視すると後で痛い目に遭う。相見積りは管理組合自身でとるべきである。