私の知人にはマンション管理会社の関係者が多い。長らくマンション管理業界にいたから、年齢的に管理職や役員の肩書を持った方が多い。その知人らとの会話する中でよく耳にするのが「社員が育たない」…
管理会社は物を作って売る商売ではない。人の手によって行うサービスだから、そこには教育は欠かせない。そして、そのサービスを受けるのも管理組合という組織であり、それぞれ異なる価値観、そして感情を持ったお客様(人)である。
管理会社に対する管理組合の要望は、昔と違って多岐に渡り、増えている感は否めない。管理会社は管理を受託する中でそれに順応していかなければならない。
その一方で、要望がエスカレートする管理組合に対して自ら解約の決断に踏み切る管理会社が近年では少なくはない。管理会社にとって管理組合の全てがお客様という時代は終わったのかも知れない。
今は管理会社に属さない人間だから、客観的な意見としてこのようなことが書けるが、元業界人として虚しく感じてしまう。管理会社に依存する、それが過剰になると、このようなことが現実的に起こり得るということだ。
このブログでは、管理会社を批判する記事が多いのだが、自省の念でそれを書き綴っている。そして冒頭の知人たちは、そこを理解していない。社員が続かない理由、それをお客様のせいにしている感は否めない。
昔も今も管理会社の体質というのは変わらない、このブログでよく記事に綴っていることなのだが、管理会社の実権を握る者の考え方が変わらないだけであって、そこで働かれている全ての社員に言えることではない。
中にはお客様寄りの建設的な価値観を持たれている方がいるのは確かなことだ。そういう人材がどんどん去っていく業界であることは否めない。
近年の求人事情として、管理会社のフロントマンを募る企業はかなり増えている。どこも有能な人材を求めている。その「有能」の定義は企業毎に異なるだろうが、それが経験や知識であったり、資格であったり、本人の仕事に対する考え方であったりするだろう。
仮に経験、知識、資格の全てを持ち合わせていても有能であるとは限らない。お客様が求めているもの、それを知っていて行動に移せる人、それが有能だと思えるのだが…
知人にはよく言っているのだが、社員は通り一遍のマニュアルでは教育できない。そこには本人の価値観とか性格があるから、マニュアルによって全てを変えることはできない。そしてあなた自身の普段の言動とか考え方がその人の価値観に影響を与えると…
私の個人的な押し付け意見なので、知人はいつも笑っているけど、実際、企業の経営者、上層部の背中を社員たちは常に見ているから、その者たちが変わらない限り、管理会社が変わることはないだろう。
子は親の背中を見て育つ
企業は営利主義、一方の管理組合は節約志向、その挟間でフロントマンは常にもがき苦しんでいる。そこで息詰まると辞めてしまう。
勝手なことを書いてしまったが、マンション管理会社は正しく反省しない限り、大きく変わることはないだろう。
デベロッパー系の管理会社にそれを期待したところで、親会社が実権を握っているからそれを変えるのは正直難しい。私はそれでリストラに遭った(悲)。マンション管理会社の苦悩というのは、親子関係にもある。
管理会社の苦悩を取り除く、そして管理会社を変えられるのは、お客様である管理組合なのかも知れない。この取り除くための費用は100倍返し…(笑)何倍返しこのセリフはもうとっくに死語ですね…(笑)