マンションを維持保全していくために欠かせないのが修繕である。ほとんどのマンションでは長期修繕計画が作成されていると思う。
マンション毎に長期修繕計画の様式は異なる。
1枚の用紙に一覧表だけが記載されているもの、複数の用紙に細かく修繕内容が記されているもの、国土交通省のマニュアルを参考に作成されたもの、管理会社独自の様式で作成されたもの、色んな様式がある。
これらの多くは管理組合の意思、そう自分達の意思で作成されたものではない。
販売時にマンションデべロッパーが作成したもの、管理会社が作成したもの、これらが大半であろう。
長期修繕計画の必要性、これを理解していないと、ただあればいいになってしまう。
こんな話がある。
某マンションの総会での一幕
組合員
マンションに長期修繕計画はあるんですか?
理事長
…
管理会社
このマンションの長期修繕計画ならあります。30年の修繕計画が記されています。
理事長
そういえば販売時に分譲会社からもらいましたね。
組合員
この修繕計画に合せて積立を行ってますよね?
管理会社
…
理事長
大丈夫なんですか?
管理会社
これはあくまで計画であって、実は今の修繕積立金では将来的に赤字になります。
理事長
どれくらい赤字になるんですか?
管理会社
試算してみないと分かりません。
理事長
…
組合員
…
皆さんのマンションでは過去に同じようなことはなかっただろうか。これはよく見聞きする一幕である。
最近の新築マンションでは、長期修繕計画に沿った資金計画が既に作成されている。修繕積立金を段階的に上げていくプランである。
最後に管理会社が口にした言葉「試算してみないと分かりません」、この言葉が今の管理会社の本質にあたいする言葉である。
言われてようやく動く…
この赤字については、管理会社は既に承知しているのだが、値上げを提案すれば管理委託料を削減されるリスクを負うから、敢えて見て見ぬふりをする。そう先送りである。都合の悪いことは先送り、国政と全く同じである。
マンション管理について、分からないこと、気になることを総会の場で質問する。この一言が潜在的な問題を呼び覚まし、早期に解決できることもある。先ほどの総会での一幕もそのひとつである。
長期修繕計画を作成する意義は、建物を常に健全な状態に保つこと、生活に支障を来さないよう予防の観点から作成されている。それともうひとつ、適正な修繕積立金を導き出すために用いられるものだ。
長期修繕計画と修繕積立金が連動していなければ作成の意義が薄れる。というか意味を持たない。
長期修繕計画というのは、自分達の大切な財産を守るために欠かせないものである。それ故に関心を持つべきである。
枚数が多ければ良いというものではないが、1枚だけの用紙に刻まれる薄っぺらなものではないことは理解できよう。
長期修繕計画、そして資金計画においては、国土交通省のマニュアルがある。この良し悪しは別として、一度は目を通しておくべきだと思う。