国土交通省が作成している長期修繕計画のガイドラインによれば、この計画期間は、新築マンションの場合は30年、既存マンションの場合は25年に設定されている。
また、ガイドラインの大規模修繕の周期は12年程度とされ、新築時の長期修繕計画の多くは、12年周期の計画で作成されている。
マンションの長期修繕計画があるから安心、多くの所有者がそのように感じているかも知れない。だが、長期修繕計画というのは適宜見直しを求められる。
2014年4月に消費税が5%から8%に値上げされ、その増税分を長期修繕計画(資金計画)に反映させなければならない。小さな金額に思えるが、工事費の全てに関わってくるから、マンションによっては累計で百万単位になる。
マンションの寿命は30年ではない。40年、その先も考えられる。大規模修繕の周期を12年程度とするのなら、3回目を考慮した最低36年が必要になる。30年後に発生する設備の交換費用なども出てくる。
これを踏まえれば、新築マンションの計画期間は40年の設定が望まれる。
30年で計画されている場合、30年以降に資金が不足することも考えられる。
3回目(36年目)の大規模修繕の際には、マンションの建替えという選択肢も考えられるが、この建替えは決して容易ではない。
建替えの検討を始めてから着工に至るまで最低でも2年以上は掛かる。途中で購入された所有者の中には住宅ローンの支払いがまだ残っている方もいるだろうし、建替えの資金調達、権利関係の整理など難題も多い。また、建替え時点における住宅需要も人口減少に伴い少なくなることが予想される。おそらく多くのマンションは大規模修繕を選択されるだろう。
次に見直しを行う際は、40年先を見据えた長期修繕計画に改定することが必要だと思う。まだかなり先のこと、そう思われるかも知れないが、人生と同じで時が経つのは早い。30年先に値上げが発生した場合、それに応じられるか、そこを考えれば今やるべきことを見い出せる。