長期修繕計画のガイドライン
国土交通省が作成している長期修繕計画のガイドラインによれば、計画期間は、新築マンションでは30年、既存マンションでは25年に設定されています。
また、大規模修繕の周期は12年程度とされ、新築時に売主から渡される長期修繕計画書の多くは、これに準じて作成されています。(☜ 補足 近年の新築分譲マンションでは18年周期を採用しているところがあります。)
長期修繕計画は策定して終わりではありません。そこで5年毎の見直し、こちらもガイドラインで推奨されていますが、建物や設備の劣化状況、生活様式の変化などにより、実情に見合うように適宜見直しが求められます。
資金計画の重要性
長期修繕計画は、「修繕計画」「資金計画」の2つで構成されますが、この資金計画が策定されていないマンションが意外と多く、そこでよく見られるのが修繕積立金の不足です。
どんなに立派な修繕計画を立案しても、実施する際にお金が足りなければ意味を成しません。なので、修繕計画とそれを実行するための資金確保、この考え方が必要になります。
近年、中古マンションの売買において、長期修繕計画が重要視されています。マンションの買い手にとって、大規模修繕の予定時期とか修繕積立金の値上げは購入の判断材料になります。
十年先、数十年先に修繕積立金の値上げや一時金が発生した場合、それに応じられるか、そこを考えれば資金計画の重要性、そして今やるべきことに気付くと思います。
長期修繕計画は40年は必要!
新築マンションの計画期間は30年とされていますが、マンションの寿命は40年、50年、その先も考えられますので、30年の計画では足りません。
給水管、排水管の更新には多額の費用を要しますが、それが31年目以降に実施する場合、資金不足に陥ることも考えられます。これは2回目以降の大規模修繕にも言えることです。
なので、新築マンションの計画期間は40年が望まれますし、既存マンションでは築40年までの計画を含めることが理想と言えます。
もうひとつ40年が望ましい理由があります。この40年の期間内でマンションに関わる修繕のほとんどが網羅されます。一巡することで全体像が見えてきます。
3回目の大規模修繕のときには、マンションの建替えという選択肢も考えられますが、マンションの建替えはこれまでの実績からしてかなり難しいことが窺い知れます。
途中で購入された所有者の中には住宅ローンの支払いがまだ残っている方もいらっしゃいますし、建替えの資金調達など難題が多く存在します。
今後、国内の人口減少に伴い住宅需要が減ることが予想されます。そうなれば更に建替えが難しくなり、多くは大規模修繕を選択せざるを得なくなります。
マンションの長期修繕計画は40年と言いながら、その時まで私は生きているのかな?