長期修繕計画

マンションの鉄部塗装の周期には注意!

2021年3月16日

 

マンションの修繕の中に「鉄部塗装」という工事がある。玄関扉の枠、玄関横のメーターボックスの扉と枠、鉄製の非常階段、消火栓ボックス、駐輪場、エレベーターの扉や枠など、あらゆるところに鉄製の部材が使用されている。

 

 

 

鉄部塗装の実施周期は5年毎、これが一般化されているが、マンションの立地環境などにより周期は伸縮される。

最初に行う鉄部塗装は、実情として7年目から8年目に実施するケースが多いが、海に近いマンションでは、塩害により発錆が早いので、実施時期が遅れると鉄部箇所の交換工事を余儀なくされたり、安全性が損なわれる。

 

 

 

交換工事ともなれば、部位によっては高額な費用が掛かるわけだが、鉄部塗装に関心を持たれる方は意外と少ないのが実情ではないだろうか。

鉄部塗装は、美観を回復する目的、そして鉄製の部材を延命させることが目的である。延命させることにより修繕費用を低く抑えることができる。

新築時のマンションの鉄製の部材は、工場で塗装が施されるから、現場で塗装するよりも錆は発生しにくい。これは初回の鉄部塗装が7年から8年目に実施されている実情からも窺える。その後の鉄部塗装の周期は、5年程度に短縮される。

なので、工場で塗装された鉄製の部材と現場で塗装する部材とでは、錆が発生するまでの期間は全く異なるということだ。

現場での塗装で大事なことは、ケレン(錆落とし)を十分に施さないとすぐに錆が発生する。意外とこのケレンが十分になされていないケースが多い。このケレンは面倒で手間がかかるから、他社と比べ工期が極端に短い場合は特に注意が必要だ。

マンションにある鉄製の部材の劣化の進行度合いは、どの部位も同じではない。雨ざらしになる箇所、直射日光があたる箇所では塗装面の劣化の進行は早い。

 

 

一般的に鉄部塗装というのは、一斉に同時期に行われるわけだが、屋内と屋外とではそれぞれに劣化の進行状況は異なる。そこに注意を払う必要がある。

特に理事になられた方は、皆さんでマンションを巡回されるといい。日頃気付かない劣化の現状を知ることができるだろう。

 

 


 

-長期修繕計画

執筆者:

関連記事

分譲マンション|長期修繕計画表は管理会社の売上表ではない!

マンションに必要なもの、そのひとつに長期修繕計画というものがあります。国土交通省が5年毎に実施しているマンション総合調査(30年度)の結果によると、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は90.9% …

マンションの長期修繕計画は40年は必要!

  長期修繕計画のガイドライン 国土交通省が作成している長期修繕計画のガイドラインによれば、計画期間は、新築マンションでは30年、既存マンションでは25年に設定されています。   …

マンションの長期修繕計画表の作成者は?

  近年、新築の分譲マンションにおいては、当たり前に長期修繕計画が用意されているのだが、その多くは分譲会社から指名された管理会社がそれを作成している。 昔は、マンション販売時において、長期修 …

マンションの長期修繕計画のあれこれ

  マンションを維持保全していくために欠かせないのが修繕である。ほとんどのマンションでは長期修繕計画が作成されていると思う。 マンション毎に長期修繕計画の様式は異なる。 1枚の用紙に一覧表だ …

分譲マンションの修繕は資産価値に直結する!

  マンションの修繕は適正な時期に実施する。そのために長期修繕計画が存在し、この計画に基づき修繕積立金の額が設定される。 新築マンションの修繕積立金のほとんどが「段階増額方式」を採用している …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー