経年に伴い、マンションの至るところで劣化現象が起こる。
マンションに使用されている部材の中には、事前に予防することで劣化を防げたり、その進行を遅らせることができるものがある。
劣化が進行することで、最終的には修繕・交換といった費用が発生する。修繕・交換周期を延ばすことは、長い目で見れば管理支出を減らすことになる。
上記の面格子の写真は、マンションでよく見かける光景である。アルミニウム素材は錆びにくいからマンションの至るところで使用されている。だがそれは大きな間違いである。
アルミニウム素材はきちんと手入れをしないと錆びる、それを上記の写真は悲しげに物語っている。
アルミサッシが錆びる原因
アルミサッシの錆は、部材の表面に付着した、チリ、埃、砂、排気ガスなどが大気中の湿気や雨水を含むことによって腐食性水溶液となり錆が発生する。
また、給湯器の排気ガスが直接かかる場所では錆はひどくなる。これはガスに含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物が水と反応し、アルミニウムの腐食、塗膜剥離を引き起こす。
大規模修繕後は特に目立つ
大規模修繕の際に窓まわりの面格子の塗装もしくは交換は、工事対象から除外されることが多い。マンション全体がきれになれば面格子の錆が余計に際立つ。これはよくある光景である。
面格子を塗装する場合、塗料材、仕上げ処理などの施工方法を誤ると見栄えが悪くなったり、すぐに塗装面が剥がれたりする。
この塗装を得意とする業者もいるかも知れないが、業者側の本音を言えば、面格子の塗装は後のトラブルが起きやすいため、あまり関わりたくない事案である。だから交換をすすめる業者が多い。
面格子の修繕は厄介
面格子は各住戸に設置されているが、この面格子は住戸の専有物(専有部分)ではない。共用物(共用部分)に属する。専用使用はできるが所有はあくまで共用物という扱いになる。
この段階で既に面倒さが窺えるが、面格子の劣化状況が住戸毎に異なるから、修繕の際に更にそこが面倒になる。
劣化がひどい箇所のみの交換を行うにしても、必ずそれに異議を唱えるものが出てくる。そこの住人の手入れが悪い、それを言い出す者も現れる。
だがしかし、その手入れを誰がやるのか教える者がいない。そこにも問題が潜んでいる。
面格子の手入れは誰がやる
アルミサッシの錆の原因は、部材の表面に付着するチリや埃などの汚れである。これを定期的に除去(清掃)すれば、錆などの劣化の抑止に繋がる。
手入れは水洗いが基本となる。乾拭きは表面に傷がつき、余計に発錆しやすくなる。車の洗車と同じに考えれば理解しやすい。
定期清掃にこの面格子の清掃を入れているマンションは皆無に等しい。誰がいつ行うのか、管理組合の管理対象物にも関わらず、それが明確になっていない。だから冒頭の写真のような悲しげな姿となる。
入居時のしおり、アフターサービス関係の資料にもしかしたら、この手入れ方法、その必要性が記載されているかも知れない。だが実際にやれていないのなら意味がなかろう。
後悔先に立たずである。
明確な取り決めが必要
面格子の清掃は各自が責任をもって行う。場合によっては定期に清掃会社に委託する。誰がいつ行うのか明確に決めるべきである。
この面格子の清掃については、マンションの総会でよく話に上がる事案である。そして曖昧になる事案でもあり、結果として誰もやらないで終わる。だから悲しげな姿は後を絶たない。
マンションのイベントとして、お掃除キャンペーンと銘打って実施してもよいではないだろうか。ボランティアだから、そこに理屈などいらない。
ひとつの面格子の白錆から、話がかなり飛躍してしまったが、私が思うに、何のために管理を行うのか、誰のために管理を行うのか、そして誰がその管理を行うのか、そこを知ることがマンション管理を行う上で大切なことなのかも知れない。
何のために管理を行うのか
マンションを常に良好な状態に保ち、住人たちが安心して快適に暮らせるように、そのために管理が行われる。
誰のために管理を行うのか
マンションという財産を所有している個々の区分所有者、マンションに暮らす住人のために管理が行われる。
誰がその管理を行うのか
管理組合、そして個々の所有者が管理を行う。管理会社はあくまで管理組合の指示に従うだけの一業者に過ぎない。
管理会社のホームページを見る度に思うのだが、結果がともなっていない。
お客様の立場で、ご安心ください、お任せてください、その結果が悲しげな姿 … なのか?
管理会社の存在意義が問われるだろう。