何事もスタートが大切である。そして初心を持ち続けることが大切である。特に事業を立ち上げられる方にとっては、スタート時の決意、そして何事にも屈しない勇気が必要になる。
マンション管理士事務所を立ち上げた経営者の皆さん、そこで働かれているマンション管理士の皆さんの初心には、きっと自分を突き動かしたマンション管理への思い入れがあると思う。
マンションをもっと良くしていこう、これは皆さんに共通することであろう。
私は管理会社時代に、マンション管理を支援するNPO法人、マンション管理士事務所に対して、良いイメージは持てなかった。
なぜなら、現場を知らない、そして机上の空論を唱える方が多かったからだ。言ってることが「きれいごと」にしか聞こえなかった。「だったら自分でやってみろ」って口には出さないがそう思っていた。
マンション管理の理想を唱える、それは簡単なことだと感じた。既に反面教師(管理会社)が存在するし、管理組合の声を素直に聞けば、簡単に後付けの助言はできる。そのように感じていた。それが管理会社時代の本音であった。
だが今は感謝に堪えない。なぜなら、自分に刺激を与え、自分を成長させてくれた恩人だからである。そして管理会社の悪態を懲らしめる管理組合にとって正義の味方になり得る存在だからだ。
正義の味方というのは大袈裟のように聞こえるが、これまで管理会社主導でやりたい放題のマンション管理体制が続き、これを抑止できる者が外部に存在しなかった。
この管理体制がマンション管理業界の半世紀の歴史の中で長く続いたのだ。
マンション管理の見直しをマンションの所有者自身が試みると、周りから異端児扱いされることも多かった。それは集団という組織の難しいところでもある。
そこで管理組合を支援する第三者が現れた。これは管理組合にとって大きな救いになっただろう。そして管理会社にとっては脅威の存在となった。
私は、自分で管理会社を立ち上げた時に考え方が少し変わった。第三者の教えに耳を傾けようと努力した。その結果、零細企業から中堅の管理会社まで育て上げることができた。
人の意見を聞くことの大切さを身を持って知ることができた。今はその管理会社にはいないが本当に感謝している。これも人によっては「きれいごと」に聞えるかも知れないが、私の素直な気持ちである。
マンション管理士事務所を立ち上げられた経営者の皆さん、そしてそこで働かれている皆さん、マンション管理が適正に行えるよう、日々大変でしょうがその活躍に期待しています。
そして「初心忘るべからず」、これからも熱い魂を持ち続けてほしいと願います。
今後、マンションの高齢化に伴い、顧問契約が増えていくものと思料します。
マンション管理業界をもっと正しい方向へ導いてください。
それを実現できる支援者は、熱意あるマンション管理士の皆さんしか存在しません。
kurumi