理事長

管理組合の理事長に就任したらまず最初にやるべきこと!

2021年5月4日

 

理事長になったけど、何をすればよいのか分からない…

 

 

それは、初めて理事長になられた皆さんにとって共通する疑問点だと思います。

そこで、管理会社のフロント担当者から「管理会社が全面的にサポートしますから…」、そんな声掛けがあったりもします。

 

 

だったら安心…

これが間違いの始まりです。

管理会社に全てを任せると管理会社にとって都合の良い管理が行われるだけです。ここで注意すべきことは、管理会社から色んな提案がなされても決めるのはあくまで管理組合自身であること、そこを忘れてはいけません。

特に費用が発生するケースでは注意が必要です。なぜなら、管理組合と管理会社は相反関係にあるからです。

管理会社は契約上の管理業務のみならず管理に付随する工事などを受注し、売上を伸ばし利益を出します。

一方の管理組合は、限られた予算の中で管理運営を行っていく必要があります。最少費用で最大効果、これが理想と言えます。

管理会社は売上・利益を出すのが仕事です。企業だから当たり前ですよねそこは。でも、色んな提案が管理会社の売上・利益のためになされているとすれば、鵜呑みにするのは危険です。

管理会社の中には不要な工事、不当な費用を提示する、そんな営業行為が目に付きます。調べてみたら、同じ商品なのに他社の方が格段に安かった、そんなことが起こり得ます。他社との競争がなければ言い値で決まります。

気付けばお金が足りない、借入をしなければ修繕ができない状況に陥ります。

修繕積立金が将来不足するのに全く提案がなされず、不足を補うために借入(借金)を勧める管理会社、管理組合の大切な財産を横領する管理会社が実在します。詳しくはこちらの記事👇

借入れを勧めるマンション管理会社には要注意!

繰り返されるマンション管理会社の横領事件…なぜ起こる!

終わりなきマンション管理会社の横領事件!

このように「安心」と思えることが「リスク」に変わることだって起り得ます。なので、理事長になられた方は、マンション管理について色々と学ぶことが大切ですよ。

 

理事会の引継ぎは大切

管理組合の運営にあたっては継続性が求められます。そこで重要になるのが「前期の理事会から今期の理事会への引継ぎ」になりますが、この引継ぎが十分なされず、結果として管理会社の意向に沿った引継ぎになっている感は否めません。

 

 

悪い例を挙げれば、管理会社にとって都合の悪いことは棚上げされ、懸案事項が管理会社にとって都合の良いものに化けたりもします。

特に理事のメンバーが一斉に代わるケースでは、そこに注意を払う必要があります。

また、理事会毎に懸案事項に対する考え方(価値観)が異なりますので、前期の理事会の考え方が交代によってリセットされ、色んな問題が先送りになったり、忘れ去られたりもします。

なので、理事が一斉に変わることは望ましくありません。そこで2年任期の1年半数改選を採用する管理組合が増えています。この改選方法は、懸案事項が途切れないから継続性が保てます。詳しくはこちら👇

管理組合の運営で欠かせないのが継続性

管理組合毎に懸案事項の引継ぎの仕方は異なりますが、懸案事項の把握は理事にとって欠かせません。



 

理事長に就任したらまず最初にやるべきこと

理事長に就任したら、前述の懸案事項の内容を把握することが大切です。そして新たな問題点を見出すことも大切なことです。

前期の理事長から懸案事項について話を聞いたり、過去の総会や理事会の議事録を一通り確認してみたり、マンション全体を自分で一通り廻ってみたり、実際に行動してみると普段気付かないことを知り得ます。

夜にならないと気付けないこと、雨天時にしか気付けないことがそこにあったりもします。

例えば、昼間は閑散としている駐輪場でも夜になると自転車が飽和状態になっている。そこで不要自転車の処分という問題意識(課題)が生まれます。埃だらけの自転車やタイヤがパンクしている自転車が駐輪場にそのまま放置され、日頃利用する自転車が雨ざらしになったり、通路に置かれたりして通行の支障になったり、巡回すると色んなことを知り得ます。

マンションの顔となる植栽が枯れていることに気付いたり、雨の日に駐車区画に水溜まりがあることに気付いたりもします。そこで車から乗り降りにする際に不便さがあることに気付けたりもします。

 

 

私が理事長に就任したときにまず最初にやったのがマンションの巡回です。そこで色んな問題点を見出しました。報告書に記載している文字を見るよりも、実際に自分の目で見ることが大切だと感じました。

様々な問題を解決していくために管理規約などのルールを調べて、そこで管理規約の不備とか矛盾に気付き、管理規約の改正や使用細則を新たに作りました。

2台目の駐車場が分譲会社の販売都合で勝手に特定の方に貸されていて、1台目が借りられない住戸があることを知りました。しかも2区画共に条件の良い区画、不平等で矛盾した貸し方があることに気付きました。

誰かが理事長になったときに苦労するだろうと思い、かなり揉めましたが早いうちに解決に至りました。

これに対して異論が出るかも知れませんが、理事長とか理事は「面倒くさい」をやるのが仕事だと思います。面倒くさいを先送りにすると悪循環に陥り、そして誰もやらなくなります。

理事長になったらまず最初にやるべきこと、それはマンションをもっと良くしていこう、その揺るぎない決意なのかも知れません。

 

 


 

-理事長

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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