大手管理会社の横領事件が2018年12月に発覚しました。この管理会社は過去にも同様の事件を起こしています。詳しくはこちらの記事👇
毎度のことながら本当に呆れます。管理会社の横領事件が発覚するたびに、事件を起こした管理会社だけではなく業界全体に疑いの目が向けられ、情報を知り得たマンションの所有者の皆様から管理会社に対して不信、不安の声が上がります。
うちのマンションは大丈夫なのか…
今回、この管理会社が受けた行政処分は60日間の業務停止処分です。これにより、多大な迷惑を被る管理組合も出てきます。
そこを管理会社は本当に理解しているのか苦言を呈します。
歴史的にみても管理会社の横領事件は後を絶ちません。なぜ繰り返し起こるのでしょう?
そこには防ぎ切れない管理会社特有の体質、そして管理組合側のチェックの甘さがあります。この2つが重なると事件は起こり得ます。
2つが重なって事故は起きる!
交通事故というのは偶然が重なって起きると言われていますが、一方が注意すれば回避できる事故というのは多いと聞きます。
横領事件にも言えることです。管理会社がダメでも、管理組合がしっかりしていれば事件は起きにくいとも読み取れます。また、その逆も言えますし、印鑑、通帳を預かる理事同士の関係にも言えます。
銀行の払戻請求書に印鑑が押され、銀行窓口にその用紙と通帳を提出すれば簡単にお金が引出せます。
一般的に管理会社が通帳を保管し、管理組合の理事長もしくは会計理事が印鑑を保管する方法がとられていますが、管理会社の言われるまま、郵送で送られる場合は確認しないまま払戻請求書に銀行印を押されるケースが多いのが実情ではないでしょうか。
そこにもし、金額が記されていない白紙の払戻請求書があるとしたら…
そこにもし、消せるボールペンで書かれた払戻請求書があるとしたら…
そこにもし、理事長から「通帳の原本を見せてくれ」と言われて、簡単に通帳を持ち出せる社内体制があるとしたら…
そこでもし、フロント担当者が通帳を所持していたとしたら…
管理会社の横領事件は、交通事故のように偶然ではなく、お金を盗む目的がそこにあって、盗む人間は、色んな盲点を利用して、あの手この手を使います。
なので、管理組合側のチェック体制の在り方、そして管理会社のチェック体制の在り方が問われます。
例えば、重要事項説明書、管理委託契約書の特記欄に「管理会社は保管している通帳の社外への持ち出しは一切いたしません。」とか、「払戻請求書は直接持参いたしません。」、そういったルールを取り交わし、管理組合の皆さんにそれを周知することも対策として有効だと思います。
管理組合が通帳の原本を確認したい場合は、管理会社の社内で通帳保管責任者が通帳を提示する。権限を持った責任者だけが通帳の取り扱いを行う、面倒かも知れませんがこれも対策方法の一つです。
過去に起きた横領事件の多くは、フロントマン、管理員によるものです。
なので、金銭に関わる取り扱いについて個人には一切権限を与えない、通帳、払戻請求書、金銭、銀行印は一切持たせない、その考え方が必要になります。
そうすれば、通帳、払戻請求書の持ち出し厳禁という管理会社側の社内ルールが構築(徹底)できますし、管理組合側がそれを承知していれば、フロント担当者(個人)が持参した払戻請求書に印鑑を押すことは防げます。
相手方が知らないことを悪用する、これが横領事件に繋がっていると思います。
管理会社側に徹底されたルールが構築され、また管理組合側にチェック方法(押印までのプロセス)が十分に理解されているとしたら、横領事件というのは未然に防げます。
不正を防ぐための社内ルールが管理会社側に構築されていない、またはされていても徹底されていないから、繰り返し横領事件は起きています。
管理会社の横領事件が起きるたびに、ホームページや書面でお詫び文章が出されますが、その中にある「再発防止に努めます」、不正に至るまでのプロセスが掴めていないと再発は当然に起こり得ます。それは過去の歴史が物語っています。
私のブログでよく用いる「正しく反省する」、これはパナソニックの創業者である松下幸之助の名言です。ここでいう「正しく」は、不正までのプロセスをしっかり把握し、二度と事件を起こさせない社内体制を構築する、あらゆる悪用の手口の防御策について真剣に考える、これが本当の「反省」だと感じますし、「再発防止に努めます」の真意はそこにあると感じます。