役員のなり手がいない、これはマンションの管理組合が抱えている問題のひとつと言えます。そこで、公平性という名の下に輪番制という持ち回りの役員決めが行われているのが慣習化されています。
輪番だから役員になるのは仕方ない、でも理事長にだけはなりたくない、多くの方がそのように感じると思います。私の管理会社時代に敬遠の声を嫌というほど聞いてきましたからね(笑)。
そして役員決めの場では、緊張感の張りつめた重い空気が漂います。そんな中「私が理事長やります!」、なんていさぎよく名乗り出る方はあまり見かけません。日本人の性格を察すれば、それが当たり前なのかも知れません。
結局、あみだくじとか抽選くじを引く、そんな決め方になるんですよね。
そこで「理事長くじだけは当たらないで!」、そんな祈りの声が聞こえてきそうな雰囲気に包まれます(笑)。
くじ引きで理事長に当たったとき、きっと多くの方がこのように感じると思います。
理事長なんて私には無理!
決まった後、「私にはそんな大役はとても務まりません!」とか、「仕事で家にはほとんどいないから理事長は無理です!」、そう言いたくなる気持ちは分かります。でもね、それを誰か口にすると一瞬でしらけムードになるんですよね。
個人的な事情は皆さんお持ちです。当人が断れば、他の誰かがそれを引き受けなければなりません。そこで私も私もってな具合になります。
それを見かねて、「だったら私が理事長を引き受けてもいいですよ!」って、神様に思えるような方が現れたりもします(笑)。断り文句の裏側には、きっとこの言葉を誰かが言ってくれる、それを期待しているのかも知れません。
役員決めの際に管理会社のフロント担当者が参加するケースがほとんどかと思います。そこでフロント担当者から「私が全面的にサポートしますから心配なさらずに」、そんな心強い言葉が出たりもします。きっとその言葉に安心される方が多いと思います。
役員の皆さんが無意識に期待してしまうこと、それは「管理会社がいるから大丈夫」ではないでしょうか?
ところで、管理会社が口にするサポートとはいったい何を意味するのでしょう。
管理会社は形式的なことしか教えません。もっと言えば、管理会社の都合の良いことしか教えません。管理会社の関係者が読まれたらきっと大きなお世話に思えるでしょうね(笑)。
管理会社が教えることは決まってこうです。
▶ 送られてくる書類に押印して下さい
💬 チェックの言葉が抜けている…(細かくチェックされると色んな問題が出てきてその対応に追われるから、余計なことは決して口にしません。それが管理会社ですよ。)
▶ 管理組合の銀行印を預かって下さい
💬 法的に管理会社は持てませんの一言…(預ける理由まで説明しないと預かる方は理解できません。管理会社、理事長による銀行預金の不正引き出し対策、これが目的です。そこを十分説明しないから未だに管理会社による横領事件が起きています。)
理事長の仕事内容について、分からないことや不明な点があれば、恥じずに積極的に質問すべきだと思います。最初は誰しも分からないことだらけです。
理事長というのは、組合員を代表する立場にありますから、本来ならくじ引きなんかで決めるべきではありません。知識と経験そして責任感のある方がなるべき、これが理想と言えます。
ですが、現実を鑑みればこれはただの理想に過ぎません。マンションに住まれる皆さんのほとんどが未経験者ですから、知識がないのは当然ですし、なんとなく責任的に重い職務というのは理解できても、実際にやったことないから知りようがありません。
この知らないとか見えないことが不安を生みます。なので、サポートは必要不可欠です。だから身近な管理会社に皆さん頼るんです。
でもそのサポート役が頼りにならなかったら、より不安になりますよね。私の理事長時代にそれを体感しました。詳しくはこちらの記事👇
自転車に乗るのと同じ、最初は多くの失敗を経験します。そしてその痛みから色んなことを覚えます。その痛み、学んだことを互いに皆さんで共有し合うことが大切だと思います。
マンションには色んな価値観を持たれた方同士が暮らしています。だから意見が食い違うのは当たり前のことだと思います。
意見が違うからと言って相手を敵視してはいけません。尊敬し合う、もしそれができるとしたら、きっと前向きな意見がどんどん生まれ、きっと住みやすい快適なマンションを築けると思います。
知らないことを恥じる必要はありません。皆さん同じですから。そして周りも暖かく見守り、失敗しても必要以上に責めるべきではないと思います。
私には理事長なんて無理!、努力する前に発するセリフではありません。やってみないとその良し悪しなど分かりませんからね。
マンションをもっと良くしていこう、この考えを持っていればきっと大役は務まります。
理事長をみんなで支え合う、そんなマンションであってほしいと願います。