マンションを購入される際に、いくつかの物件を比較検討するだろう。立地場所、周辺環境、販売価格、広さ、間取り、設備、階数、管理員常駐の有無など検討すべき材料は多い。
中古マンションであれば、築年数、建物の美観、管理状態などがそれに加わる。意外と軽視されているのが管理費、修繕積立金などの維持費である。
私は長らくマンション業界にいたから、この管理費、修繕積立金の重要性を知っている。検討材料の多くは、表面的なものだからそれを見れば素人でも把握できる。だが決して表には出ない部分、例えば、マンションの内情、管理組合の運営状態など、それを知るための判断材料が管理費、修繕積立金というわけだ。
この2つの金額を見るだけでその良し悪しを見極めることができる。今回、それについて語りたい。
どちらを選ぶ!
中古マンションのチラシが毎度のように郵便受けに投函され、元業界人として興味があるから捨てずに見ることの方が多い。
そのチラシの隅っこに小さな字で管理費、修繕積立金の金額が記されている。
そこで読者さんへの質問だ。例えば全く同じマンションが2つあるとして、違うのは管理費、修繕積立金の金額だけ。貴方ならどちらのマンションを選ぶ?
Aマンション
管理費 7,000円
修繕積立金 13,000円
管理費 13,000円
修繕積立金 7,000円
管理費、修繕積立金の2つの合計金額は同じである。私ならAマンションを選ぶだろう。
既に管理会社を変更した経験を持つ方、マンション管理について勉強されている方であれば理解できよう。
一番の決め手は、修繕積立金が既に値上げされており、管理組合がきちんと機能していることが見てとれる。修繕積立金は最低でも1万円は必要だから、これを超えているので将来的な値上げはない、あっても小さいだろうと予測できる。
次の決め手になるのが管理費の金額が低いことである。安かろう悪かろうというリスクは否めないが、それはマンションの管理状態を見れば判断できる。
この2つのバランスというのはとても重要である。新築時のマンションの多くはBマンションの方だ。新築当初の管理費は本当に無駄が多い。詳しく知りたい方はこちらの記事を参照👇
価格競争がないから管理会社の定価(言い値)で設定されている。それに販売するために修繕積立金は低く設定されている。この低さは負担の先送りを意味する。詳しく知りたい方はこちらの記事を参照👇
マンションを購入してすぐに修繕積立金の値上げ、一時金の徴収なんてことも起こり得る。それに修繕積立金が低いマンションでは、築年数が15年を過ぎていても大規模修繕などの修繕工事が行われておらず、見学に行くと劣化個所が至るところ目に付く。
建物の状態が悪く、修繕積立金の積立金額が少ないマンションは、最近では特に敬遠される。これは売り手にとっても、買い手にとっても、そのマンション(管理組合)にとっても、空き状態が続けば良くないことだ。
修繕積立金が低く設定されたままのマンションは、管理組合がほとんど機能していない、そう判断することができる。
マンションを購入される方は、その見極めも必要になるだろう。そしてマンションの管理組合は、そこを判断されていることを知るべきである。