分譲マンション

貴方ならどちらのマンションを選ぶ?

2017年9月11日

マンションを購入される際に、いくつかの物件を比較検討するだろう。立地場所、周辺環境、販売価格、広さ、間取り、設備、階数、管理員常駐の有無など検討すべき材料は多い。

中古マンションであれば、築年数、建物の美観、管理状態などがそれに加わる。意外と軽視されているのが管理費、修繕積立金などの維持費である。

私は長らくマンション業界にいたから、この管理費、修繕積立金の重要性を知っている。検討材料の多くは、表面的なものだからそれを見れば素人でも把握できる。だが決して表には出ない部分、例えば、マンションの内情、管理組合の運営状態など、それを知るための判断材料が管理費、修繕積立金というわけだ。

この2つの金額を見るだけでその良し悪しを見極めることができる。今回、それについて語りたい。

 

 どちらを選ぶ!

中古マンションのチラシが毎度のように郵便受けに投函され、元業界人として興味があるから捨てずに見ることの方が多い。

そのチラシの隅っこに小さな字で管理費、修繕積立金の金額が記されている。

そこで読者さんへの質問だ。例えば全く同じマンションが2つあるとして、違うのは管理費、修繕積立金の金額だけ。貴方ならどちらのマンションを選ぶ?

Aマンション
管理費    7,000円
修繕積立金 13,000円

Bマンション
管理費   13,000円
修繕積立金  7,000円

管理費、修繕積立金の2つの合計金額は同じである。私ならAマンションを選ぶだろう。

既に管理会社を変更した経験を持つ方、マンション管理について勉強されている方であれば理解できよう。

一番の決め手は、修繕積立金が既に値上げされており、管理組合がきちんと機能していることが見てとれる。修繕積立金は最低でも1万円は必要だから、これを超えているので将来的な値上げはない、あっても小さいだろうと予測できる。

次の決め手になるのが管理費の金額が低いことである。安かろう悪かろうというリスクは否めないが、それはマンションの管理状態を見れば判断できる。

この2つのバランスというのはとても重要である。新築時のマンションの多くはBマンションの方だ。新築当初の管理費は本当に無駄が多い。詳しく知りたい方はこちらの記事を参照👇

マンション管理|新築当時の管理仕様には無駄がある!

 

価格競争がないから管理会社の定価(言い値)で設定されている。それに販売するために修繕積立金は低く設定されている。この低さは負担の先送りを意味する。詳しく知りたい方はこちらの記事を参照👇

修繕積立金の均等積立方式が望まれる理由!

 

マンションを購入してすぐに修繕積立金の値上げ、一時金の徴収なんてことも起こり得る。それに修繕積立金が低いマンションでは、築年数が15年を過ぎていても大規模修繕などの修繕工事が行われておらず、見学に行くと劣化個所が至るところ目に付く。

建物の状態が悪く、修繕積立金の積立金額が少ないマンションは、最近では特に敬遠される。これは売り手にとっても、買い手にとっても、そのマンション(管理組合)にとっても、空き状態が続けば良くないことだ。

修繕積立金が低く設定されたままのマンションは、管理組合がほとんど機能していない、そう判断することができる。

マンションを購入される方は、その見極めも必要になるだろう。そしてマンションの管理組合は、そこを判断されていることを知るべきである。

 


 

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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