一戸建の住宅であれば、その建物の全て、そして土地が自分のものとなり財産となる。マンションの場合、どこまでが自分の財産になるのだろうか。
住戸部分は自分の財産に思えるが、例えば、住戸の境界に位置する玄関扉、窓ガラス、サッシ、格子柵などは、自分のものでありそうだが、自分のものではない。
そうなの?って疑問を抱かれる方が多い。
マンションというのは、壁で区切られたその中の空間の権利を買っているようなものである。排他的にその空間を利用できる権利、それが区分所有権という考え方もできる。余談になるが、この権利を護るためにつくられたのが区分所有法である。
ひとつの建物を区分所有する、これがマンション特有の権利形態である。区分所有そして共有の2つの権利がマンションには存在する。
本題の「財産を共有するとは」の話になるが、共有するというのは簡単そうで実は難しいことである。
それぞれの所有者が話し合いによって物事を決めなくてはならない。民法だけでは対応できないから、区分所有法という法律が作られ、意思決定を行う機関として管理組合という組織が誕生した。
共有の難しさを自転車に例えて考えてみよう。
1台の自転車を二人が共有していたとする。民法(第250条)の考え方を用いるなら、持ち分割合は2分の1である。
当然1台の自転車を2つに分けることはできない。そこに共有の難しさがあるのだ。その自転車を使用する権利を半分ずつ、修理代を半分ずつ負担するなど、必ずそこにルールを設けないとトラブルになる。マンションでいうなら、管理規約がこのルールに該当する。
買い替えの場合は半分ずつ出し合って購入することになるが、トラブルを経験された方は、きっとこのような買い方はしないだろう(笑)。
例えば、自転車の修理代を一方が支払わない場合、自転車の修理は行なえず使用できない。自分が全額支払って修理した自転車に修理代を支払わない一方が平然と使用されては納得できまい。
共有するというのは、実に大変なことである。
だがしかし、共有にはメリットも存在する。共有することで負担が軽減できるし、相手がいるから互いに助け合える。
共有する、これに大きく関わっているのが管理組合であり、マンションの所有者である。ルールというのは、公平性、秩序、そして区分所有権を護るために設けるもの、そして管理組合は互いに助け合うために存在している。