近年、中古マンションの売買が活性化している。地域によっては中古マンションが高値で取引されているということもあり、売りに出される人が多いのが実情であろう。私も自宅マンションの売却を検討したうちのひとりである(笑)。詳しくはこちら👇
マンションを売却する際に必要になるのが、そのマンションの様々な情報である。そこで売主から売却の依頼を受けた不動産会社(宅地建物取引業者)は、物件状況を把握し、買主に対して説明を行うわけだが、一般的にはそのマンションの管理会社に問い合わせて物件情報を入手している。
その際に管理会社は口頭ではなく、慣習的には所定の書面を不動産会社に提出している。この書面が重要事項調査報告書であり、物件状況報告書とも呼ばれている。詳しくはこちら👇
この物件情報の説明が不十分だと売買契約締結後にトラブルが生じてしまう。だから宅地建物取引業者はあらゆる情報を入手したい、これが根底にある。
売主・宅地建物取引業者の説明義務
売主は、そのマンション(住戸)を売却する区分所有者であったり、そのマンションを買い取った不動産会社であったりもする。近年、目に付くのがマンションを一時的に不動産会社が買い取って、リフォーム(リノベーション)を施し、再販するというケースである。
なので、売主は区分所有者、不動産会社(宅地建物取引業者)の2つのケースが考えられる。
売主の説明義務とは、売主が買主に対してその目的となる物件について説明する義務のことである。売主は、民法で定められている「信義誠実の原則」に基づいて、契約締結前に買主に対して説明する義務を負う。信義誠実とは、“信頼を裏切らず誠実に行動しなければならない”という意味である。
区分所有者が個人ではなく事業者であれば、消費者契約法によって、さらに宅地建物取引業者であれば宅地建物取引業法によって、これらの法に基づく説明義務が課せられる。
物件情報というのは広範囲に及ぶ。特に問題視されるのが「マンション内の事件・事故」である。この物件情報の取り扱いについては、実際に事件・事故が生じているマンションでは頭を悩ませる問題になると思う。なぜなら、マンションの価値に直接影響するからに他ならない。
例えば、マンションの飛び降り自殺、住戸内での自殺とか他殺、火災など、広義では騒音問題なども物件情報となり得る。これらは「心理的瑕疵」と言われるものだが、買い手によってその解釈の仕方は異なるだろう。
この心理的瑕疵には定義がないから、買い手側の判断に委ねられるということだ。そして売主が買主に対してどこまで説明するのか、その判断というものもあるだろう。ただし、前述の信義誠実の原則があるから、その判断もまた難しいものと言える。
売主や仲介に入る宅地建物取引業者には説明義務が課せられているわけだが、物件情報を尋ねられた場合、管理組合に告知義務は果たしてあるのだろうか。(この告知義務に関する参考記事はこちら)
物件情報の提供
物件情報を提供する当事者は、そのマンションの管理会社であったり、管理組合であったりする。管理会社が管理組合に代わって、売主や宅地建物取引業者にその情報を提供(開示)できる範囲は管理委託契約書に記されている。
管理組合の承諾なく管理会社が管理委託契約書に定める範囲外のことを売主や宅地建物取引業者に情報提供することはできない。そにに注意を払う必要があろう。
実務において、範囲外の情報が提供されている感は否めない。
管理組合内で協議すべし
マンションの物件情報は、内容によっては資産価値に直結したりもする。そこで情報提供の在り方が問われるということだ。
なので、売主である区分所有者、宅地建物取引業者からマンションの様々な情報提供を求められた場合、どこまでの情報を管理会社に委ねるのか、そして管理組合に直接聞かれた場合の対応について、事前に協議すべきだと思う。
特に心理的瑕疵については、今後、管理会社からその判断を求められるケースが増えるものと思われる。