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売買・賃貸

マンションの情報が知らないところで流出している?

2017年6月15日

 

マンションの売買契約において、不動産会社(宅地建物取引業者)は契約締結前に重要事項説明を行う必要がある。その説明の際に必要となるのがマンションの管理に関わる情報だ。

その情報を入手するために、不動産会社は重要事項の調査依頼を一般的にそのマンションの管理会社に対して行っている。

マンションの管理に関わる情報は、管理会社と言えども管理組合の承諾無しに勝手に情報開示することはできない。そこで、管理組合と管理会社の間で交わされる管理委託契約の書面の中に、管理会社の情報開示に関わる事前承諾の規定が設けられている。

国土交通省が作成しているマンション標準管理委託契約書第14条にこのような記述がある。

マンション標準管理委託契約書第14条(管理規約の提供等)

乙(管理会社)は、宅地建物取引業者が、甲(管理組合)の組合員から、当該組合員が所有する専有部分の売却等の依頼を受け、その媒介等の業務のために、理由を付した書面又は電磁的方法により管理規約の提供及び別表第5に掲げる事項の開示を求めてきたときは、甲(管理組合)に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供し、及び別表第5に掲げる事項について書面をもって、又は電磁的方法により開示するものとする。甲(管理組合)の組合員が、当該組合員が所有する専有部分の売却等を目的とする情報収集のためにこれらの提供等を求めてきたときも、同様とする。

2 乙(管理会社)は、前項の業務に要する費用を管理規約の提供等を行う相手方から受領することができるものとする。

3 第1項の場合において、乙(管理会社)は、当該組合員が管理費等を滞納しているときは、甲(管理組合)に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、その清算に関する必要な措置を求めることができるものとする。

別表第5

宅地建物取引業者等の求めに応じて開示する事項

1 マンション名称
① 物件名称、総戸数
② 物件所在地
③ 対象住戸の住戸番号

2 管理体制関係
① 管理組合名称
② 管理組合役員数(理事総数及び監事総数)
③ 管理組合役員の選任方法(立候補、輪番制、その他の別)
④ 通常総会の開催月と決算月
⑤ 理事会の年間の開催回数
⑥ 管理規約原本の発効年月と変更年月
⑦ 共用部分に付保している損害保険の種類
⑧ 使用細則等の規程の名称

3 共用部分関係
(1)基本事項
① 建築年次(竣工年月)
② 共用部分に関する規約等の定め
・共用部分の範囲の定め(規定している規約条項、別表名)
・共用部分の持分の定め(規定している規約条項、別表名)
③ 専用使用に関する規約等の定め(規定している規約条項、使用細則条項、別表名)
(2)駐車場
① 駐車場区画数
・敷地内台数(内訳:平面自走式台数、機械式台数)
・敷地外台数(内訳:平面自走式台数、立体自走式台数、機械式台数)
② 駐車場使用資格(賃借人の使用可否、規定している規約条項、使用細則条項)
③ 駐車場権利承継可否(駐車場使用の権利が専有部分と一体として承継することの可否)
④ 車種制限(規定している規約条項、使用細則条項、別表名)
⑤ 空き区画の有無
⑥ 空き区画の待機者数
⑦ 空き区画補充方法(抽選、先着順、その他の別)
⑧ 駐車場使用料
(3)自転車置場・バイク置場・ミニバイク置場
① 区画数(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)
② 空き区画の有無(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)
③ 使用料の有無とその使用料(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)

4 売主たる組合員が負担する管理費等関係(①~⑬の項目毎に金額を記載(滞納がある場合は滞納額も併せて記載))
① 管理費
② 修繕積立金
③ 修繕一時金
④ 駐車場使用料
⑤ 自転車置場使用料
⑥ バイク置場使用料
⑦ ミニバイク置場使用料
⑧ 専用庭使用料
⑨ ルーフバルコニー使用料
⑩ トランクルーム使用料
⑪ 組合費
⑫ 戸別水道使用料・冷暖房料・給湯料
⑬ その他
⑭ 遅延損害金の有無とその額
⑮ 管理費等の支払方法(「翌月分(又は当月分)を当月○○日に支払い)
⑯ 管理費等支払手続き(口座振替(○○銀行○○支店)、自動送金(○○銀行○○支店)、振込、集金代行会社委託の別)

5 管理組合収支関係
(1)収支及び予算の状況(①~⑩の項目について直近の収支報告(確定額)を記載し、①~③及び⑥~⑧については当年度の収支予算(予算額)も併せて記載)
① 管理費会計収入総額
② 管理費会計支出総額
③ 管理費会計繰越額
④ 管理費会計資産総額
⑤ 管理費会計負債総額
⑥ 修繕積立金会計収入総額
⑦ 修繕積立金会計支出総額
⑧ 修繕積立金会計繰越額
⑨ 修繕積立金会計資産総額
⑩ 修繕積立金会計負債総額
(2)管理費等滞納及び借入の状況
① 管理費滞納額
② 修繕積立金滞納額
③ 借入金残高
(3)管理費等の変更予定等(①~⑬について、変更予定有(平成 年 月から)、変更予定無、検討中の別を記載)
① 管理費
② 修繕積立金
③ 修繕一時金
④ 駐車場使用料
⑤ 自転車置場使用料
⑥ バイク置場使用料
⑦ ミニバイク置場使用料
⑧ 専用庭使用料
⑨ ルーフバルコニー使用料
⑩ トランクルーム使用料
⑪ 組合費
⑫ 戸別水道使用料・冷暖房料・給湯料
⑬その他
(4)修繕積立金に関する規約等の定め(規定している規約等の条項、別表名)
(5)特定の区分所有者に対する管理費等の減免措置の有無(規定している規約条項、別表名)

6 専有部分使用規制関係
① 専有部分用途の「住宅専用(住宅宿泊事業は可)」、「住宅専用(住宅宿泊事業は不可)」、「住宅以外も可」の別(規定している規約条項)
② 専有部分使用規制関係
・ ペットの飼育制限の有無(規定している使用細則条項)
・ 専有部分内工事の制限の有無(規定している使用細則条項)
・ 楽器等音に関する制限の有無(規定している使用細則条項)
・ 一括受電方式による住戸別契約制限の有無
③ 専有部分使用規制の制定・変更予定の有無

7 大規模修繕計画関係
① 長期修繕計画の有無(有、無、検討中の別)
② 共用部分等の修繕実施状況(工事概要、実施時期(年月))
③ 大規模修繕工事実施予定の有無(有(平成 年 月実施予定、工事概要)、無、検討中の別を記載)

8 アスベスト使用調査の内容
① 調査結果の記録の有無
② 調査実施日
③ 調査機関名
④ 調査内容
⑤ 調査結果

9 耐震診断の内容
① 耐震診断の有無
② 耐震診断の内容

10 管理形態
① マンション管理業者名
② 業登録番号
③ 主たる事務所の所在地
④ 委託(受託)形態(全部、一部の別)

11 管理事務所関係
① 管理員勤務日
② 管理員勤務時間
③ 管理事務所の電話番号
④ 本物件担当事業所名
⑤ 本物件担当事業所電話番号
⑥ 本物件担当者氏名

12 備考
◯ 敷地及び共用部分における重大事故・事件があればその内容
◯ ゴミ出しに関する情報
◯ 自治体等より認定されている耐震・防犯制度
◯ 設計図書等保管場所

「別表第5」以外の情報は管理組合の承諾が必要ということになる。



重要事項調査依頼書の記載事項に注意

マンションの管理に関わる情報を提供するため、多くの管理会社では重要事項調査報告書という書面を作成している。不動産会社(媒介業者)自らが独自の重要事項調査依頼書を作成しているケースもある。

管理会社が作成している調査報告書は、多くは管理委託契約書(第14条)に準じた報告書になっているのだが、不動産会社が作成している調査依頼書は、管理委託契約書に記された情報開示以外の事項も見受けられる。

不動産会社には告知義務というのがある。知り得た情報を買い手に伝える義務があるのだ。それを知れば買わなかった、このような紛争が実際に起きている。それを防ぐために不動産会社はマンションに関わる色んな情報を入手しなければならない。

建物の瑕疵(欠陥)に纏わるトラブルは昔から発生しているのだが、最近は心理的瑕疵をめぐるトラブルが目立つ。心理的瑕疵とは、先述の「それを知れば買わなかった」というものだ。例えば、マンション住戸内での自殺などが挙げられる。上階の騒音なども、度合いによっては心理的瑕疵になり得る。

そのようなマンションのデリケートな部分の情報開示を求められるケースがある。

管理会社の中には、不動産会社が作成している調査依頼書にありのまま記入し、提出されるケースもあろう。だが、約定外の情報開示については、本来管理組合の承諾が必要になる。勝手にマンションの内情を流出されては困る。例えそれが事実であったとしても約定外の情報を開示する権限は管理会社には無いのだ。

管理組合(理事長)は、このような書面を見たことはあるだろうか。管理会社が作成している書面、不動産会社が作成している書面、いずれにしてもマンションの管理に関わる情報の書面は、事前にチェックする必要があると思う。

国土交通省の重要事項報告作成に関するガイドラインにも、これらの情報開示について、事前に管理組合の承諾を得ておく旨の必要性が謳われている。

 

 

 


 



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