マンションを常に健全な状態に維持するためにマンションの管理運営が行われている。そしてこの管理運営に欠かせないのが運営資金である。
毎月、管理費・修繕積立金・駐車場使用料という名目で徴収されている料金がこの運営資金に充当されている。
そこで問題となるのが管理費等の滞納である。「長引く景気の停滞もあってか、管理費等の未納が増えている」、このような論説を唱える記事をネット上でよく見かけるが、確かにこの時代背景というのも一理ある。しかしながら、本質はそれとは異なる。
今回、管理費等の滞納の要因、初歩的な対処法について、私の経験をもとに語りたい。
意識付けが大切
私はこれまでマンション管理業を通じ、多くの滞納者と接してきたわけだが、滞納者に共通することがある。それは「管理費等は後回し」、この考え方を持たれている。
特に家計が苦しくなると支払いの優先順位というのが設けられ、管理費等は後回しにされるケースが多い。まず生活に欠かせないものから順に支払う、利息の高いものから先に支払う、このような傾向にある。
管理費等の遅延損害金については、管理規約に設けられているが、認知度は低いし、実際に徴収されるケースは少ない。滞納しても過去に利息を取られたことがない、そんな軽率な理由から後回しにされがちだ。
だが、この考え方は本人の言い訳に過ぎない。大半の所有者は、家計が苦しいときでもやり繰りして指定期日までに支払っている。生活する上で欠かせない費用だと認識している。
マンションに住んでいれば、エレベーターは使用するし、廊下、階段も使用する。管理費等が滞れば日常の生活に支障をきたすことになる。実際に滞納する人はこれらの意識が低いということが言える。
初歩的な対策法として、この意識付けは滞納率を下げるためには欠かせない。