マンションは経年とともにその価値が下がっていく。最近はちょっとした不動産のバブル期だから首都圏の人気エリアにおいては、新築価格よりも高い値段で中古マンションが売買され、現世においてはとてもレアなケースと言える。
マンションの価格は、20年経過すると4割以上目減りすると言われている。公益財団法人東日本不動産流通機構ホームページのREINS-TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」の資料の中に、中古マンションの築年帯別平均価格のグラフが掲載されている。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
この折れ線グラフの推移(形)は、ここ十数年大きく変わっていない。このマンションの市場価格というのは、目に見えた資産価値とも言える。自分のマンションが今ならいくらで売れるのか、個人的に気になったりもする。
私の住むマンションでは、今年に入って3件、売買による入れ替わりがあったのだが、新築時の価格の7割から8割で取引されている。築年数20年、それを考えればかなり良い方ではないだろうか。
首都圏の中古マンションの最近の動向として、築20年以上のマンションの売買成約数が増えている。築20年を過ぎれば市場価格は下げ止まり、そして価格が安定するから、この築年帯に購入者の人気が集まっている。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構
不動産会社にいる知人に今のマンションの売買事情を尋ねてみると、利便性の高いエリアではすぐに中古マンションは売れると聞く。そして築20年以上のマンションを売りに出される所有者が増え、そのマンションの多くは売れているそうだ。
だが一方では、同じ築年数のマンションでも大規模修繕を行っていないマンションは、価格を下げないと売れない、築年数が増せば買い手はそのマンションの手入れの方を重視するようになる、そんなことも言っていた。マンションの価値というのは築年数だけではなく、手入れも関係してくる。それを改めて感じさせられた。
市場価格だけを考察すれば、マンションの価値が低いように思われるが、戸建住宅の場合は、築20年以降も右肩下がりに価値が落ちていく。その違いは大きい。
マンションは手入れさえしっかり行っていれば、建物を大きく延命させることができる。
マンション(鉄筋コンクリート造)の寿命には諸説あるのだが、117年説(飯塚裕氏/1979年「建築の維持管理」鹿島出版会)、68年説(小松幸夫氏/2013年「建物の平均寿命実態調査」)、120年~150年説(大蔵省主税局/1951年「固定資産の耐用年数の算定方式」)などの参考書物がある。
これは鉄筋コンクリート造の物理的劣化による寿命といえるが、実際には機能的劣化、社会的劣化、そして耐震性への不安などがマンションの寿命に大きく関係している。
昔に比べると今のマンションは、手入れ状態も改善されているし、使用されている資材も良くなっているから、現時点のマンションの建替え実績年数よりも寿命はもっと長くなるだろう。
個人的には今のマンションにあと30年以上は住みたいと願う。それまで生きていればの話だが…(笑)。