管理会社

マンション管理会社の法令違反、依然として続く!

2017年12月14日

 

マンションの管理の適正化に関する法律が平成13年8月に施行され、既に16年の月日が経過しているのだが、マンション管理会社の法令違反は後を絶たない。

この法令違反は、国土交通省が毎年実施している全国一斉立入検査(任意抽出立入検査)で発覚するのだが、ここ5年間で毎年4割以上のマンション管理会社が法令に違反し、国土交通省から是正指導を受けている。

 

昨年10月から3か月に渡り行ったマンション管理会社への全国一斉立入検査の結果の概要をまとめてみた。

<全国一斉立入検査の概要>

全国141社(前年度135社)の管理会社に対して立入検査を行い、64社(前年度51社)に対して是正指導を行った。指導率45.4%(前年度37.8%)

◆法令違反項目別の是正指導社数(重複該当あり)

①管理業務主任者の設置(第56条関係)・・・・1社

②重要事項説明等(第72条関係)・・・・・・51社

③契約成立時の書面交付(第73条関係)・・・29社

④財産の分別管理(第73条関係)・・・・・・21社

⑤管理事務の報告(第73条関係)・・・・・・20社

国土交通省レポート:マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(平成28年度)一部抜粋



今回の立入検査結果を踏まえて、国土交通省は「法令条項の理解不足が原因」と述べているが、それは法令を理解していない管理会社がマンション管理に携わっていることを意味する。

これらの法令条項はマンション管理会社に課せられた責務であり、マンション管理の適正化を図る上で欠かせない基本的な規範になる。

 

 

この基本すら守れていない、しかも毎年4割以上…

管理組合の大切な財産を守るべき立場であることを自覚していない。だから未だに管理会社の横領事件は後を絶たない。

法令に違反する企業が、管理規約の定めに従って管理組合に対して助言できるのか、そこを問いたい。

これが悪質な法令違反の場合、管理会社は業務停止処分を受けることになるが、業務停止になって困るのはマンション管理会社だけではない。

マンションの日常の管理業務が止まり、そこに暮らす人たち、そして管理組合の管理運営に支障を来すことになる。そこを理解しているのか、これも問いたい。

毎回、全国立入検査の結果の報告書を見る度に、この4割以上の数字が一向に改善されていないことに気付く。是正指導を受けた管理会社の社名は一切公表されない。もうここまでくると「ペナルティが甘すぎる」、この言葉以外に見当たらない。

 

法令が守れないようでは、マンション管理の適正化など期待できまい。

 

 

<国土交通省:公表資料>

▶ マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(平成29年7月19日)

 

 


 

-管理会社

執筆者:

関連記事

マンション管理会社|トラブルが起きた際の役割について!

    マンションは自分の所有物だからといって好き勝手に使用することはできません。そこには、使用上の制約というものがあります。   しかしながら、ルールを守らない方が中に …

マンション管理会社はこうすれば変わる?

    マンション管理会社は、マンション管理を専業にしているプロである。そして管理組合と管理会社は利益相反の関係にある。   マンション管理をサポートするのが管理会社の役 …

マンション管理会社のキャパシティは限界?

  管理会社の利点と言えば、マンション管理のあらゆる業務を包括的にサービス提供できることにある。そして多くの管理組合は、このパッケージ化されたサービス(一括発注方式)を利用している。 管理会 …

分譲マンションの管理会社は人手不足により事業縮小を余儀なくされる?

  日本の人口は将来的に減少していく。そして近年、少子高齢化が加速している。 そんな状況下において、分譲マンションの管理の在り方が問われる。 この2つの事象とマンション管理の在り方について、 …

借入れを勧めるマンション管理会社には要注意!

  大規模修繕を行う際にお金が足りずに困っている管理組合は少なくありません。そこで管理組合内に色んな意見が飛び交います。 ▶ なぜ借入れを行うのか?▶ 工事費は妥 …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー