急な転勤や様々な事情により、所有しているマンションを手放すこともあるだろう。その場合の選択肢として「賃貸」「売却」という2つの方法がある。
今回、賃貸に出される際のポイントや注意点についてお伝えしたい。
人に貸せる状態にすべし
今マンションに住んでいる方であれば、入居年数にもよるが、引越し後に室内の不具合箇所の補修や清掃を行う必要がある。
売買の場合は、現状引渡しというのもありだが、賃貸の場合は、室内のクロスの張替(クリーニング)、襖・障子の張替、室内の清掃、故障個所の修理を行うのが一般的だ。
3LDKのマンションであれば、最低でも20万円以上は掛かる。
きれいに使っている住居であれば、清掃代だけで済むケースも考えられるが、清掃業者に依頼すれば、ファミリーマンションの場合、5万円から8万円程度は掛かる。
人に貸す場合、最初にお金が掛かることを知っておくべきである。
人に貸す際の注意点
新築未入居、入居年数が浅い場合、きれいな状態で人に住居を貸すことになるのだが、再び自分が住む際に元のきれいな状態ではなくなる。
退去後の傷んだ室内を見て愕然とする所有者をこれまで多く見てきた。借り手によって、きれいに使われる方、そうでないケースに分かれる。
タバコを室内で喫煙するだけでも、汚れは壁紙、襖、障子、建具、機器などに付着し汚れる。室内の換気が十分になされないとカビや結露などが生じ、傷みの原因になる。
ペットを飼育しているケースでは、床、建具、柱の小傷は絶えない。
人に貸すというのは、これらのリスクを伴う。借り手の皆さんがきれいに室内を使ってくれるとは限らない。そこは知っておくべきことだと思う。
退去後にきれいにしてもらえればいい。そのように考えても、退去後の内装費の全てを借り手に請求できる時代ではなくなった。
このように貸し手にもリスクはあるのだ。それが嫌なら賃貸に出すべきではない。
不動産会社の選び方
マンションの賃貸の仲介を行う不動産会社は多い。大手の不動産会社、賃貸を専門とする不動産会社(エイブル、アパマンなど)、町中にある個人で営む不動産屋など色々ある。
マンションを購入した不動産会社に依頼するケースも考えられる。
マンションの賃料設定は、不動産会社が行ってくれるのだが、住宅ローンを組まれている方であれば、住宅ローン、そして管理費、修繕積立金、固定資産税(月換算)の合算額を下回らない、これが賃料の目安となろう。
築年数、立地場所、マンション仕様などにより、相場賃料というのは決まっている。分譲マンションというのは、賃貸マンションと違い人気が高い。
賃貸に比べると管理がしっかりしている、そして仕様も高い、これが人気の理由になるのだが、いくら人気が高くても、実際に借り手が見つからなければ意味がない。
分譲マンションを借りられる客層は、法人の社宅が多い。一般的に分譲マンションの賃料は、賃貸マンションよりも高くなるから、個人で借りる方は意外と少ない。
不動産会社にもショップを構え、個人客を中心に集客している企業もあれば、法人客をたくさんもっている企業もある。
どちらが良いのか、それは前述の需要(客層)を考えれば、法人客を持っている不動産会社がベストと言える。
私のこれまでの経験で言えば、個人客に貸すよりも法人の社宅で貸した方が、賃料の滞納リスクは少ないし、室内を大切に使用してもらえる確率が高い。
ペット飼育は禁止
ペット飼育可のマンションでも、人に貸す場合は、ペット飼育を禁止することができる。
ペットの臭いは簡単には消えないし、ペットによる室内の損傷は避けられない。特に犬や猫の爪で床などを傷つけてしまう。
私見になるが、賃貸借契約書の中にペット飼育の禁止条項は入れるべきだと思う。トラブルを避けるためには必要なことである。
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