マンション管理のポイントは、最少費用で最大効果、これが理想ではないだろうか。裏を返せば安かろう悪かろうでは困る。
企業の経営と同じで、必要なことにお金を掛け、不要なことにお金を掛けない、これもマンション管理には必要なことだと思う。
限られた収入で、全ての要望を満たすことはできないから、そこには優先順位を設けることも必要だと思う。
何かの工事を行う際に他の工事を併せることで人件費とか諸経費を抑えることができたりもするし、集約することでトータルコストを抑えることができる。
マンション管理には本当にお金が掛かるから、あの手、この手を考えて、マンション管理に取り組んでいる管理組合も存在する一方で、マンション管理の目的を見失う管理組合が存在したりもする。
失礼な言い方になってしまうが、コストを掛けないことが美徳であると勘違いされている方も中にはいらっしゃる。冒頭の「最少費用で最大効果」、この最少費用がゼロであれば、当然ながら効果など期待できまい。
私の住んでいる地域に同時期に並列して建てられた築17年の2つのマンションが存在する。それぞれに管理組合が存在しているが、一方のマンションは14年目に大規模修繕を実施しており、管理が行き届いている。
だが、もう一方のマンションは、大規模修繕が実施されておらず、建物の外壁、共用廊下など至る所が汚れていて、花壇の照明も壊れた状態でスーパーの袋が被せてあった。同じ時期に建てられたマンションとは思えない2つのマンションがそこに存在している。
その古びたマンションには私の知人が住んでいるのだが、もう10年以上同じ方が理事長をされていて、とにかく節約志向で頑固な理事長だと聞かされた。
この2つのマンションの管理会社が同じだと聞かされ更に驚いた。管理組合が異なるだけでマンションがここまで両極端に変わるとは思ってもみなかった。
節約も度が過ぎるとマンションの資産価値を落としてしまう。実際に同じ価格で売りに出されているが、古びたマンションの方は中々買い手は付かない。
管理員が日常清掃を行っているのだが、その理事長は管理員に対して、デッキブラシで共用廊下を清掃してくれ、共用廊下の手摺り壁の内側の汚れを落としてくれ、共用部の照明を拭いてくれ、何かと清掃に対する注文が多いから、すぐに管理員が辞めるそうだ。
過剰な注文をつける理事長に言いたい
全ての床をデッキブラシでゴシゴシこすって清掃してみるといい。どれだけ大変か知り得るだろう。手摺壁の内側の雨だれの汚れは手でこすってもそう簡単には落ちない。これらは機械を用いた定期清掃、特別清掃の範疇である。
マンション管理の目的を履き違えるとどうなるか…
節約も度が過ぎるとどうなるか…
その先を自分たちで考えることが大切である。