「物事は最初が肝心」、これはマンション管理にも言えることだと思う。
最初からあるものを途中で変えることは難しい。慣れてしまうとそれが当たり前になってしまったり、変えることが面倒に思えたりする。
例えば、こんなケースがある。
最近の新築マンションでは、インターネットに接続するための回線や設備が全ての住戸に最初から導入されているケースが増えている。
室内にある専用モジュラージャックにつなげるだけで、入居後すぐにインターネットが利用できる。1世帯当たりの料金も割安になっているから、価格の面で利用者にとってはメリットが高いと言える。
既設のマンションにこのサービスを導入することは難しい。既に別のプロバイダーと契約されていたり、利用されていない方がいたり、個々によって事情が異なるから、反対者が必ずそこにはいる。これは管理会社時代に実際に経験したことでもある。
このことからも「最初が肝心」ということが言える。
分譲マンションでは、公平性というものが求められる。共用部分(互いに共有する箇所)は、この考え方が必要になろう。
マンションの分譲会社によって最初に決められたものが、客観視すれば不平等に感じることがある。それが駐車場の使用であったり、バイク置場や駐輪場の使用であったり、管理規約の中身であったりもする。
管理組合によっては、これらを途中で見直す、それを実施しているマンションもあるのだが、実現するまでの過程は決して容易ではなかったと思う。
途中で変えるというのは、時間が経つに連れそれが難しくなっていく。
誰しもが間違だと気付いていることを公の場で口にする人はそうはいない。もし、それを口にして、仮に多くの賛同が得られたとしても、一方で不利益を被る同じ住民(所有者)がそこにいるとしたら、罪意識に駆られてしまうこともあるだろう。
分譲マンションの管理の難しさは人にある。これは私の管理会社に培った経験でもある。だから何事も最初が肝心と言える。