昨今では考えられない話になるのだが、昭和期において、マンション管理に費やされる管理費の値上げが平然と行われていた時代があった。管理費が足りないから値上げするのだが、平然とそれがなされた理由は、マンションは一時の住処という考え方が根強く、また不動産価格が右肩上がりの時代背景がそこにあった。俗にいう「不動産のバブル期」時代の話である。
近年においては、それとは全く異なり、マンションは永住志向という考え方が主流となり、不動産価格は右肩下がりという時代である。
増え続けるコスト
建物の経年劣化により、それを維持していくための費用は下がることはない。管理組合にとって、特に修繕費は大きなコストと言えよう。
それと軽視できないのが消費税である。
▶ 1997年4月に5%へ値上げ(2%引き上げ)
▶ 2014年4月に8%へ値上げ(3%引き上げ)
▶ 2019年10月に10%へ値上げ予定(2%引き上げ)
このように消費税が導入されて以来、段階的に値上げされている。マンション管理に関わる消費税は、支出項目の大半に該当するから、これまで値上げの影響を受けてきた。
個々の支出項目、月単位では小さく見えても、支出項目の全体、年単位に換算すると意外と大きな負担となる。
消費税が導入される前のマンションであれば、支出項目の約1割が消費税に該当する。この1割という金額は大きい。
これまでの消費税の値上げに伴い、管理費を値上げされたマンションも存在するし、逆にそれぞれの支出項目の見直しを行ったマンションも存在する。
今の時代背景からすれば、極力管理費の値上げは避けたい、これがマンション所有者側の本音の意見ではないだろうか。
間違ったマンション管理の見直し
マンション管理というのは、必要なものにお金を使う、不要なものにお金はかけない。そこは一般家庭の家計のやりくりと同じである。
マンション管理の見直しを行う際に、間違った方法をよく見かける。例えば、業者の比較検討は行わずにただ単に回数などの頻度を減らすという行為である。
例えば、定期清掃の回数を年6回から年3回に減らす。確かに目先のコストは下がるのだが、それが美観の維持低下に繋がったりもする。
見直しを行う際は、必ず業者比較は行うべきだと思う。同じ回数でも比較検討を行うことでコストを削減できるケースが多い。
不要なコストを排除する。これは見直しの基本だと言える。管理会社が受け取る中間マージン、リベートは、不透明で不要なコストと言えよう。(詳しくはこちらの記事)
このマージンが何割なのか、もし管理組合がその真実を知ることができれば、コスト削減の必要性を認識できる。当然管理会社にそのマージンを聞いたところで教えてはくれまい。
だから業者の比較検討が必要であり、色んな業者と接触し話をすることで見えてくるものが必ずある。
このマージンは、一般的に10%から20%、支出項目によっては50%を超えるものまで存在する。
清掃業務、点検業務において、業者と直接契約を行っているケースでも裏ではリベートが発生していることもある。
来年10月に予定されている消費税2%値上げについて、剰余金でそれを補うのか、管理費を値上げするのか、支出項目の頻度を減らすのか、それとも抜本的な見直しを行うかは個々の管理組合に委ねられるが、もし見直しを行うとしたら、無駄を省き、質は下げない、この2つは重視すべきである。
私が考える無駄とは、対価のない不要なコストのことである。