語り

こんなマンションには住みたくない!続編

2017年10月6日

 

 

マンションというのは同じものはない。そこに暮らす人たち、コミュニティ(地域社会)のあり方に違いがある。大袈裟な言い方になってしまうが、マンションには独自の文化がある。これは過去の歴史によって自然に創り出されたものである。

これから語ることはあくまで個人的な意見になるので、それを前提に読んでもらいたい。私の管理会社時代に多くのマンションを見て感じたことがある。それは、マンション毎に文化が異なるということだ。中にはこんなマンションには絶対に住みたくない、そう感じることもあった。

新築当初から住まれている方は、自分のマンションの文化などあまり意識することはないと思うが、中古マンションを購入される方にとってみれば、そのマンションの文化というのは気になるものだ。

企業に例えるなら、就職や転職するときに職場の環境とか人間関係が気になる、それと同じである。

中古マンションの場合、既に出来上がった文化の中で暮らさなければならない。これは賃貸で住まれる方も同じだ。

ときには新参者と罵られ、仲間外れにされたり、マンション独自の慣習にストレスを感じ、孤立してしまうこともある。

郷に入っては郷に従えということわざがあるが、人それぞれ色んな解釈の仕方がある。故事ことわざ辞典にはこのように書かれている。

風俗や習慣はその土地によって違うから、新しい土地に来たら、その土地の風俗や習慣に従うべきだということ。また、ある組織に属したときは、その組織の規律に従うべきだということ。

この辞典に書かれた内容を読むと二つの解釈ができる。ひとつは「そうしないと社会集団では損をするよ」という自分への戒めの言葉、そしてもうひとつは、郷が発する言葉である。

私は、このことわざの本旨は、自分の戒めの言葉だと解釈している。これを郷が発すればただの押し付けになるだろう。

法で定められた規則は誰しも遵守しなければならない。これは当たり前のことである。だが慣習というのは、この規則とは異なり拘束力をもたない。その地域社会で作られた独自の習わしである。

しかしながら、慣習の怖いところがある。それはその地域の文化に従わないと偏見な目を向けられてしまうことだ。これが郷に入っては郷に従えの本旨であり、自分への戒めの言葉になる。



古参が慣習を作り、新参はこの慣習に従がわなければならない。もしこれが事実だとすれば、かなり違和感を覚える。

先に住むか後に住むかによって、もしそこに立場の格差があるとしたら、それはただの偏見や差別に過ぎない。

企業の職場、自治会などの地域社会において、古参が実権を握っていることは良くある話だが、もし仮に、その慣習が正しくないものだとしたらどうだろう。きっと多くの方がストレスを感じるに違いない。それでも郷に入っては郷に従えなのだろうか。

例えば、仲間外れが平然と行われる地域社会だとしたら、何に従えというのか。新参の意見に耳を傾けない地域社会だとしたら、もはや独裁国家と同じである。

郷が創り上げた文化は、人の感情によって創り出されたものだから正しい文化とは言えないだろう。法律のような拘束力を持たない理由はそこにある。

日本の半分の市区町村は過疎地域である。2020年には各都道府県の人口が減少に転じる。このような状況下に「郷に入っては郷に従え」なんて呑気なことを言ってる場合ではない。

どの地域も過疎対策、新たな転入者の受入れを確保することが最重要課題になるだろう。マンションも他人事ではない。空き家が増えれば管理組合運営に支障を来すことになる。

これからの地域社会は、選ばれる時代へと変わる。旧態依然の固執した考え方は捨てるべきだと思う。一度できあがった文化を変えることは難しいが、新参の意見に耳を傾けるのは容易にできることだ。

古参が文化を作るのではない。そこに住む人たちが時代に合せて創り出すものだと思う。その文化には、互いの配慮、そして心温まる暮らし、そうあってほしいと願いたい。

 

 

私は差別や偏見が存在するマンションには住みたくはない。それは誰しも同じ意見ではないだろうか。

 

前回の記事はこちら 👇

こんなマンションには住みたくない!

 


 

-語り

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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