ここでいう「管理仕様」とは、マンション管理を行うために必要となる業務項目を指す。エレベーター保守点検費、清掃業務費、管理人の業務費などがこの項目にあたる。
この管理仕様は管理費と直結するので、不要なものは排除し、必要なものをとり入れる、これがマンション管理のコストの健全化に繋がる。
マンション管理は家計のやりくりと同じ
各家庭において、家計のやりくりは生計を立てる上で欠かせないことだ。特に子だくさんの家庭では何かとお金がかかる。必要なものにお金をかけ、不要なものにはお金はかけない。節約や倹約を意識している家庭が多いと思う。
マンション管理も同じことがいえるのだ。各所有者がお金を出し合って、自分達が所有するマンションを維持保全しているわけだから、健全なお金の使い方が望まれる。
新築当初のマンションの管理仕様
新築当初のマンションの管理仕様は、マンションが建設される前に策定されたものだ。だから実情に見合わないケースが多い。
マンションが建っていない段階で管理仕様を決める、この考え方がまず間違っている。マンションを販売するときに管理費が必要になるから、あえてこの時期に決めているに過ぎない。
あくまでも暫定的な管理仕様に過ぎない。このことをまず知っておいてほしい。
マンション毎に管理仕様は異なる
新築当初に管理会社が策定する管理仕様は、金太郎あめと同じだ。
本来マンションの管理仕様というのはマンション毎に異なる。なぜなら、立地環境、入居者の家族構成、居住人口、利用頻度、所有者の価値観などがマンションそれぞれ異なるからだ。
それに管理組合の意見が全く反映されていない、これが管理仕様の一番の問題点だと思う。
管理仕様は無駄が多い
管理会社が策定した管理仕様は売上に直結する。だから無駄な仕様が多く存在する。それに最初の取り決めが重要なのだ。
管理組合発足後、管理仕様を変更するのは正直容易ではない。なぜなら、管理会社が決めた管理仕様を自ら変える提案はしないし、また変えないように仕向ける。期毎に変わる理事会も管理会社の意見に従うケースが多い。
無駄の例を挙げる。
清掃回数が過剰に多い。汚れている箇所と汚れていない箇所の清掃頻度が同じ、これも金太郎あめの典型だ。
本来汚れている箇所にコストをかけるべきだ。汚れの少ない箇所は回数を減らせばいい。
清掃方法にも色々と手法がある。マンションの実情にあった管理仕様に見直すことで、マンションは常にきれいな状態でいられるし、費用対効果もある。それにコストも圧縮できる。
自動扉の点検も新築当時から点検回数が年4回のマンションがある。これは法定点検ではない。任意の点検だ。1回当りの点検費が1万円から2万円程度かかる。築後10年までは年2回の点検で十分である。
仮に1回当りの点検費が2万円として10年間の無駄を算定してみる。
見直しをしなければ2万円✕年4回=8万円、10年間で80万円の自動扉の点検費がかかる。
見直せば2万円×年2回=4万円、10年間で40万円の点検費になる。ここで40万円節約できる。
それに2万円は自動扉の点検費の定価だ。他社の見積りを取り寄せれば5千円程度は安くなる。ここでも競争の原理をとり入れるべきだ。さらに10年間で10万円が節約できる。
管理の業務項目は多いので、小さな積み重ねで大きな節約が実現できる。これが賢いマンション管理の手法である。お金が捻出できれば本当に必要なものにお金が遣える。例えばバリアフリー、防犯カメラの設置などが挙げられる。
これらはお金がないから総会で否決されるケースが多い、だったら無駄な費用を削減し、浮いた費用で必要なものに遣う。その努力に対して誰も文句は出まい。これが賢さである。