マンションの管理会社の変更時、管理コストを削減する際によく用いられる言葉があります。
▶ 管理の質は下げない
▶ 管理の質は落とさない
▶ 管理の質が向上する
この「管理の質」とはいったい何を意味するのでしょう。今回、それについて語りたいと思います。
管理の質とは
マンション管理のほとんどの業務は、人の手によって行われています。その業務を所有者自身で行ったり、管理会社に委ねたり、また専門業者がそれを行うこともあるでしょう。
そこで自分たちに対して「管理の質」という言葉は普通用いません。自らの行為に対して、質がどうとかこだわる人はいないと思います。もしいるとしたら「クレーマー」です(笑)。
一方の管理会社や専門業者が行う業務に対して、「管理の質」という言葉が用いられることはよくあります。業者を選定する際に見極めのポイントになりますから「管理の質」というのは重要です。専門業者の場合、「仕事の質」の方が分かりやすいですね。
「管理の質」「仕事の質」というのは、管理会社や専門業者が備え持つ技量とか仕事に対する姿勢であったり、仕事に対する評価の指標と言えます。
なので、冒頭の「管理の質が向上する」、この言葉の意味は、今の管理会社や専門業者が行っている業務、これを基準として捉え、この基準よりも良くなることを意味します。
一方の「管理の質は下げない」「管理の質は落とさない」、この言葉を用いる場合、先ほどの基準とは異なり、理想とする管理がそこにあって、これを持続させるという意味合いになると思います。
その理想の管理を決めているのは、それを口にする当事者たちになります。管理組合、管理会社、専門業者、それぞれに独自の理想がそこに存在するということです。そう考えれば、マンション管理士、支援団体NPO法人なども前述の当事者たちの中に含まれます。
なので、管理組合が思い描く理想と、業者側が思い描く理想というのはそれぞれが異なり、当事者の都合によって理想というのは形成されます。立場が違うし、価値観も違うから異なるのは当然です。
業者側が持つ理想というのは、一般的な理論であったり、経験則によるものであったり、そして思惑がそこにあったりもします。それが管理組合の理想と合致するとは限りません。
例えば、同じ管理会社、同じフロントマンでも、Aマンションでは評判は良い、Bマンションでは評判は悪い、これはよくある話です。管理組合それぞれに理想があるから評価は異なって当然です。
いずれにしても「管理の質」の是非を判断するのは、他ならぬ管理組合であり、業者側が口にすると押し付けのように思えます。
違った視点で考えれば、マンションを購入される方や賃貸で借りられる方も「管理の質」の是非を判断する当事者と言えます。
「管理の質」という言葉をどこかで見聞きした場合、誰が何を基準にそれを語っているのか、そこが重要になってきます。
例えば、コンサルタント会社(管理コストの削減を提案する企業)から管理会社を紹介される際に、「管理の質を下げない企業を紹介します!」、この「管理の質」は業者側の理想であって、前述のとおり必ずしも管理組合の思い描く理想と合致するとは限りません。
そこで管理組合は、自分たちの思い描く理想を前提に物事を見極める必要があります。理想を箇条書きにして、ひとつ一つの理想が業者側の理想と合致するか確認していくことがポイントになります。ここでいう業者側の理想は、実現可能なものでなければなりません。
管理組合の理想が明確になければ、具体的に何がどのように変わるのか、そこを知ることが大切です。
「管理の質」という言葉について、少し気になったので記事にしてみましたが、こんなくどい記事になってしまいました(笑)。
前述の管理組合の理想を箇条書きにして、業者側の対応の是非についてひとつずつ検証していくことが重要ですよ。