マンション管理

注意喚起の書面は配慮が必要

2017年9月19日

 

マンション内でトラブルや苦情が発生した際、書面を通じて住人に伝達することがある。

掲示板に貼ったり、各住戸のメールボックスに配付したり、目的は周知と注意喚起なのだが、果たして読まれている方はどれくらいいるのだろうか?

その書面を読まれた住人の中には、「もっと他に書き方があるでしょ!」「それって私のこと?」、なんて不快に感じる方もいるだろう。

 

 

実際に書面を作成すれば分かると思うが、文書を考えるのはとても面倒で難しい。特にトラブルや苦情に纏わる注意喚起の書面は、色んなことに配慮して文章を考えなくてはならない。

読み手のことを全く考えずにただ伝えるだけなら苦労はしない。ストレートに書きたいことを書けばいいだけの話だ。このブログのように(笑)。

一方通行である書面は、読み手にとって誤解を生むことがある。書面配付後しばらくして、差出人が苦情を受けることもある。

トラブルが更にトラブルを生んでしまう。これが書面の怖いところでもある。

私が管理会社時代にこの手の苦情が本当に多かった。



 

どうしても抽象的な文脈になってしまう

例えば、騒音の苦情の相談を受けた際、多くの管理会社は書面を使って注意喚起を行う。当事者が分かっていても、敢えて全ての住人に対して注意喚起を行ったり、周辺住戸に注意を呼び掛ける書面を配付したりする。

全く関係の無い住人まで周知することになるのだが、中には我が家が騒音の発生源ではないかと心配され、管理会社への問い合わせが多かった。

全体に周知することにより、我を省みる機会になるだろうが、解釈の相違で疑いの目が私に向けられていると不快に感じる方もいるだろう。

だから書面というのは、抽象的な言い回しの文脈になってしまう。

バルコニーの喫煙に関する苦情、ペット飼育に関する苦情、迷惑駐車に関する苦情など、当事者が分かっていれば直接注意をすべきだと思うが、初回の対応に関して言えば、一般的にこのような書面周知を行うケースが多い。

理由として当事者に直接注意した際に「他の住人もやっている!」「私だけではない!」「他の住人にも注意されたのか!」「私だけ注意するのは差別だろ!」、そこを突かれるのだ。

 

 

それは言い訳であって、それはそれ、これはこれである。その弁解は警察のスピード違反の取り締まりと同じである。

当事者が読んで理解してもらえる文書、関係の無い住人が読まれても不快さを与えない文書、相談者の意向を汲みとった文書、この3つの文書を1つにまとめるのが至難の業である。

書面を読まれる際は、作成者の苦労も少なからず配慮してほしい(笑)。

 


 

-マンション管理

執筆者:

関連記事

管理会社の提案力って何?

  マンション管理会社のホームページを拝見すると「提案力には自信があります!」、このフレーズをよく見かけるのだが、マンション管理会社の提案力ってそもそも何なのか、今回、それについて考えてみた …

マンションの付帯設備|これって誰の負担?

    マンションには色んな設備が設置されています。経年に伴い、設備の修理や交換が必要になってきますが、住戸内にある設備の修繕を管理組合が行ったり、共用部分にある設備の修繕を所有者 …

分譲マンションの管理って本当に大変だと思う!

  このサイトに訪れる方の多くは、マンション管理について、何かしら問題を抱えていたり、何か調べたいことがあって、たまたまこのサイトにたどり着かれた方がほとんどかと思います。   中には私が書いた下手な …

管理費会計の長期収支計画を策定すべき!

  マンションの管理組合会計では、結果よりも予算に重きを置くとされています。 企業であればこの逆かも知れません。売上・利益を出さないと企業は存続できないため、結果の方が重要視されます。 管理 …

かしこさを持つ、管理組合には必要です!

  マンションの維持管理には多額の費用を要する。30年見据えれば億単位のお金が掛かる。この大金をマンションの所有者が住戸の持ち分割合に応じて負担している。 極論を言うと、同じ住戸数、同じ仕様 …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー