マンション管理を行う上で優先順位を設けるという考え方はとても重要です。何かをやる際にその物事だけに捉われると結果としてうまくいかなかったり、後にトラブルが生じたりもします。
例えば、マンションに宅配ボックスを設置したいという要望が総会で上がった場合、まず利便性とか居住者の需要などに着目しがちですが、そこで宅配ボックスの設置の是非にだけ目が向けられると、結果として意見が纏まらず、先送りになることが多いのではないでしょうか。
そこでもし「もっと他にやるべきことがあるのでは」という発想を持てるとしたら、本当に今必要なのかという議論の末、結果として正しい判断が下せたり、意外と物事がすんなり行くことがあります。
物事に優先順位を付けるという作業はとても面倒に思えますが、これを軽視すると良い結果は得られない、そう感じてやみません。
私は、経営者時代を含め、よく物事を天秤にかけて実行すべきものを選択しています。その物事は2つとは限りません。状況によっては5つを同時に天秤にかけ優先すべきことを決めています。
今もっとも優先すべきこと、これは少し先でもいいね、課題を箇条書きにしてみるときっと見えてくるものがあります。
逆に考えれば、ひとつのものだけに捉われると、その良し悪しだけの判断となり、結果として色んなリスクを背負うことになります。
先程の宅配ボックスの例で言えば、その良し悪しだけを判断しても、そのマンションにとって正しい判断が得にくいということです。つまり時間を掛けて話し合っても結論には至らないとか、後から「他にやるべきことがあるのでは」という意見が出るのがオチです。
だったら最初から優先順位という考え方を取り入れ、多角的に検討することで正しい結論が早期に見い出せます。
何かの要望が生まれた場合、よくアンケートとかやって、その物事の賛否を問う内容をよく拝見します。そこで、アンケート用紙の中に「他にやるべきことがあるのでは」とか、「〇〇の方を優先すべきでは」という意見が書かれていたりもします。
そこで理事会が躊躇し、検討がズレた方向に進んだりもします。問題はそこなんですよね。それが前述の時間を掛けて結論に至らないという結果を生みます。
前述の宅配ボックスの意見が出た場合、私ならこう考えます。アンケートを取るのなら、「宅配ボックスの要望が出ていますが、他にやるべき事案はありませんか! 優先順位を踏まえ、理事会で検討いたします。」
そこで得られた要望を整理して、結果として宅配ボックスの需要が多ければ、宅配ボックスの設置について議論(検討)を重ねる。そうすることで、きっとその検討は有意義なものになると思います。
だって、進め方に説得力があるでしょ。色んな要望を確認して、その中で要望の多かった宅配ボックスの設置の是非について、総会の議題として上程し、審議する。この流れで議題化されれば、総会ではきっと可決に至る確率は高まります。
なので、物事には順序というものがあり、優先順位というのは欠かせないということです。更に優先順位を深めていくと、場当たり的なものではなく、もっと先を見据えたものでなければなりません。
「7つの習慣」で有名なスティーブン・R・コヴィーの著書の中にある、「最優先事項を優先する」の意義はそこにあると思います。
人生に例えるなら、終わりから思い描き、今やるべきことを決める。きっとそこには多くの課題が存在し、そこで悩むことが多いかも知れませんが、そうすることでより正しい選択が行えると思います。
いつもの如く、くどい記事になってしまいましたが、優先順位を意識してみることで、きっと上手くいくことは多いと思います。