マンションも人間と同じ生き物である。経年により建物や設備の劣化が進行する。安全かつ快適に暮らすためには維持管理は欠かせない。
新築当初はあまりコストはかからないが、5年を過ぎたあたりから修繕が必要になってくる。そして右肩上がりにコストは増え続ける。
30年間で億単位のお金が必要になってくる。マンション管理は本当にお金がかかる、まずそこを知っておいてほしい。
修繕費が将来不足する
マンションの修繕を計画的に実施するために「長期修繕計画」という計画書がある。近年ではほとんどのマンションにこの計画書が備わっているわけだが、ひと昔前は修繕計画という発想すら持てない時代であった。
壊れたり、雨漏りしたら修繕する、この考え方が主流だった。行き当たりばったりでマンション管理が行われていたから、修繕するときにはお金が足りない、そんなことが日常的に起きていた。
築年数がかなり経過しているマンションでは、今でも資金不足の問題に苦慮している管理組合は少なくない。
昔と違い今は、収入が右肩上がりの時代ではなくなった。年金を受給できる年齢が延び、もらえる額は減っている。
当初の修繕積立金の設定の仕方に問題があるわけだが、分譲会社の言い訳はこうだ。
低く抑えないとマンションが売れなくなる…
近年、修繕積立基金などの一時金がマンション引渡し時に徴収されているが、目先の不足分を補う充当金に過ぎない。これだけでは足りない。これで良しと考えているのは分譲会社だけである。(詳しくはこちらの記事👇)
十数年後に行う大規模修繕は戸当たり100万円は掛かる。この充当金は1回目の工事で消えてしまう。次の2回目、3回目の大規模修繕のときはどうするのか。
そのために段階的に値上げするプランを渡しているでしょ。
またそんな声が分譲会社から聞こえてきそうだ。
修繕積立金の値上げが生じないようになぜ均等積立方式にしないのか、これでは消費税と同じ先送りではないか。私が言いたいのはそこだ。(詳しくはこちらの記事👇)
均等積立方式にすると修繕積立金は高くなるから、マンションを買うときに高く感じる人は買わないだろうし、無理に買わなくてすむだろう。
これは買う側の視点であって、分譲会社の考え方はそれとは異なる。マンションが売れなくなると困るから、分譲会社は敢えて段階積立方式(途中値上げ)を採用しているわけだ。さらに値上げ幅を小さくするために修繕積立基金が用いられている。
この途中値上げについて販売時に十分な説明がなされないケースが多い。マンションを販売する営業マンもきっとこの説明には苦慮するであろう。
お膳立てされたマンション管理は抜本から見直すべき
分譲会社、管理会社からお膳立てされたマンション管理は、管理組合の負担が増えるだけで管理組合にとって何のメリットもない。
だったら、自分たちで見直すべきだ。修繕積立金の値上げプランの見直し、マンションの管理費の見直し、見直すことはたくさんある。
右肩上がりのコストは、右肩上がりの負担を意味する。この負担を少しでも減す努力をしていかないと、将来住みづらいマンションと化すだろう。
負担が大きくなると滞納者が増えたり、マンションを手放す方が増えたりもする。負担が増えて良い事なんてひとつもない。
マンション管理のコストは右肩上がり、それは負担の増加を意味する。将来の負担を小さくするために今何をなすべきか、そこに見直すという意義があるように思える。