新築マンションを購入するとき、住宅ローンを利用すれば税制優遇(還付)が受けられる。また、中古マンションにおいても同様に住宅ローンを利用すれば税制優遇が受けられる。
ただし、中古マンションの場合、全てが対象ではなく、築25年超のマンションは原則対象とならない。例外として、築25年超のマンションを購入するときに「既存住宅瑕疵(かし)保険」に加入することで税制優遇が受けられる。
例えば、サラリーマンの場合、給与から天引きされる所得税を減らすことができる。また、登録免許税、不動産取得税の軽減などのメリットがある。
既存住宅瑕疵保険
中古住宅を購入した時に対象となる瑕疵が見つかったとき、既存住宅かし保険に加入していれば、この保険から補修費用が補える。
そもそもこの既存住宅かし保険は国の政策により生み出されたものだ。中古住宅を安心して購入できるように、そして中古住宅の流通量を増やすことがその目的にある。
既存住宅瑕疵保険は、国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人(現在5社)が取り扱っている。
保証の対象になるのは、構造体力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分となる。特約により、給排水管路部分を対象とすることも可能だ。
これらの部分に瑕疵が確認されると補修費用、調査費用、転居費用、借り住まい費用が加入者に支払われる。なので、購入後の不具合発生への経済的な備えができ、安心して中古住宅を購入することができる。そこにこの保険の加入意義が存在すると思う。
既存住宅瑕疵保険は2種類ある
既存住宅瑕疵保険には、「宅建業者販売型」と「個人売買型」の2種類がある。
「宅建業者販売型」は、宅建業者(不動産会社)が買い取った住宅を、一般の消費者向けに販売するときに不動産会社が加入する保険となる。
一方の「個人売買型」は、保証を行う検査機関が加入する保険となる。売主となる個人が検査機関に対して検査と保証を依頼し、対象となる住宅の検査を実施する。検査機関から申込みを受けた住宅瑕疵担保責任保険法人は、その住宅を引渡す前に現場検査を実施する。この2段階の検査により、買主に対する保証がなされる。
検査機関に対して検査と保証を依頼するのは、制度上、売主に限らず買主でもよいとされている。
保険への加入にあたっては、保険料と現場検査手数料が掛かる。「宅建業販売型」は、不動産会社がそれを負担し、「個人売買型」は、売主、買主のどちらが負担するかは特に決まりはない。
築25年超の中古マンションの購入者はは、ココを見ている!
既存住宅瑕疵保険は、所定の検査基準に適合したマンションでなければ加入することはできない。全てが対象ではない、そこに注意が必要になる。検査基準の合否は住宅毎に異なるということだ。
中古マンションの良し悪しは、購入者の客観的な視点だけでなく、第三者による視点も加わる。この第三者の評価というものが、マンション価値に影響を与える。
既存住宅瑕疵保険の保証対象部分が「構造体力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分」となるため、いずれも共用部分に該当するからマンションの修繕の在り方が問われる。また、特約の給排水管路部分も専有部分と共用部分が一体化されたものであるため、修繕の進め方や所有区分、費用負担などマンション全体に関わる問題となる。
マンションの修繕の必要性、管理規約の整備を含めた取り決めなど、今後の中古マンション市場において関心が高まっていくものと思われる。そして中古マンションは、より厳選される時代へと変わるだろう。
マンション全体の修繕というのは、管理組合のみならず個々の所有者にとって無関心ではいられない。この記事ではそこを伝えたい。
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