マンションの管理員室は共用部分に該当する。中には専有部分として所有権の保存登記がなされ、管理会社の所有になっている特殊なケースもあるのだが、一般的には規約共用部分という扱いになっている。
規約共用部分とは、管理規約によって定められた共用部分のことを指す。
今回、前述の特殊なケースを除いた話になるのだが、マンション管理員室は誰のもの、これをテーマに語りたい。
なぜこれをテーマにしたのか、それは少し気になった記事をネット上で拝見した。管理員室の入室について、「管理会社の申請を要する」という記事が掲載されていたのだが、勝手ながらそれに対して苦言を呈する。
もしそれが、規約共用部分だとすれば、管理会社に申請するのではなく、本来なら管理組合の理事長に申請する、これが正しい手続ではないだろうか。
管理人室の使用にあたっては、管理組合にその権限があって、管理会社に権限などない。管理会社の私物化にもほどがある。
管理会社の認識が足りないからフロント担当者の口からそんないい加減な言葉が出ると思う。
管理員室の使用については、国土交通省が作成されたマンション標準管理規約の第16条に以下の事が記されている。
マンション標準管理規約第16条/敷地及び共用部分等の第三者の使用
管理組合は、次に掲げる敷地及び共用部分等の一部を、それぞれ当該各号に掲げる者に使用させることができる。
一 管理事務室、管理用倉庫、機械室その他対象物件の管理の執行上必要な施設
管理事務を受託し、又は請け負った者
(以下省略)
上記の赤字部分が管理会社になるのだが、あくまで使用の権限をその者に与えているだけであって、排他的に使用できるとは謳っていないし、無償による使用賃借契約ではない。
管理会社によっては、管理員室に私物を置かれることもあるだろうが、本来なら物を置くにしても管理組合の許可が必要になる。常識として、他人が所有するスペースに勝手に物は置かないだろう。とかなりの苦言である(笑)。
でも、勘違いを解消させるためには、ここまで書かないと理解できまい。
管理員室は共用部分であって、管理組合の所有物となる。そして管理会社は業務遂行上(便宜上)、管理員室を使用しているに過ぎない。
なので、管理員室の鍵は、管理組合理事長も持つべきであり、部外者や組合員の管理員室への立入りに際しては、管理組合理事長がその是非を決めるべきではないだろうか。
管理員室にセキュリティーが導入されている場合は、設定解除するためのセキュリティーカード類が必要になる。
管理員室には、管理組合の大切な資料、竣工図書や共用部分の鍵が保管されていることもあるだろうし、自火報の設備機器が設置されているケースもあるから、管理員室の立入りなどの使用方法について、管理組合で十分話し合って決めるべきだと思う。
冒頭の管理会社の申請は、はっきり言って間違っている。毎度のことながらくどい文章になってしまった(笑)。
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