語り

住人間のコミュニケーション、その先にあるもの!

2017年7月10日

私の住むマンションでは、子供からお年寄りまで色んな方が住まれている。誰から押し付けられるわけでもないのに、住人同士の挨拶は絶えることがない。

大人が挨拶すると子供も挨拶するようになる。挨拶から雑談へと発展し、家族間の交流のきっかけになったりもする。

普段挨拶を交わしているお年寄りの姿を見ない日が続くと、心配になったりもする。

当然住人の中には挨拶をしない方もいるが、それを押し付けることはできない。

だが、挨拶というのはコミュニケーションの基本である。今回、そのコミュニケーションについて語りたい。

 

コミュニケーション

分譲マンションでの暮らしには、住人同士の交流が必要になる。なぜなら、管理組合という組織があり、その組織の一員だからである。

だが、マンション管理の自主性、住人間のコミュニケーションというのは、マンションを購入する時にあまり意識されることはない。

マンションに住むだけの目的なら、普段生活する中でコミュニケーションを意識することはないだろう。

コミュニケーションというのは、自発的に行うものであって、他人から強制されるべきものではない。これは挨拶も同じことが言える。

コミュニケーションの必要性というのは、管理組合や理事会の運営を行う上で必要になってくる。特に理事長ともなれば、必須のものとなろう。

 

コミュニケーションの効用

マンションでいうコミュニケーションには大きく3つの作用がある。

1.犯罪の抑止効果
2.合意形成の円滑作用
3.助け合い精神

1.犯罪の抑止効果

コミュニケーションは相手の顔を知ることから始まる。自分達の住むマンションの住人を全て知っている人は寡少であろう。

同じフロアーの住人の顔くらいは知っている。そう答える人が多いのではないだろうか。

毎日、マンションには多くの住人が出入りしている。中には訪問者などの部外者もいる。時としてその部外者に紛れ、空き巣などの犯行に及ぶ犯罪者も中には存在する。

普段、コミュニケーションが図れているマンションでは、部外者を識別する能力を備えもつ。それを管理人に期待したいところでもあるが、勤務時間に限りがあるから、それに依存し過ぎると時間外が無防備となる。

ここは住人意識を高めていく以外に方法はあるまい。

マンションの空き巣というのは、単独よりもグループで犯行に及ぶケースが多いと聞く。

以前、中国窃盗団がマンションやアパートを狙い、窃盗を繰り返し、数億円の被害をもらたした事件が起きた。

警察から直接聞いた話になるが、ビジネススーツ姿のサラリーマン風の男が携帯を持って見張り役、そして別の男が部屋に侵入し犯行に及ぶという手口である。

グループ犯罪による事件だが、いずれも管理人不在のマンションが狙われている。

私が管理会社時代に2つのマンションが被害に遭った。ひとつのマンションでは、そのサラリーマン風の男を住人が目撃している。

もしかしたら事前に防げたかも知れない、この後悔の念は今でも心のどこかにある。

日頃、挨拶を交わすことの大切さ、住人の空き巣などの犯罪に対する警戒意識を高めることの重要性を思い知らされた。

そこで得た教訓は次に活かさないと同じ犯罪が繰り返されるだけだ。だから敢えてここに文章として残したい。

2.合意形成の円滑作用

会議などの話し合いで必要なのが意見を出すことである。でも実情はどうだろう。

管理組合、理事会で意見をいう人は少ない。発言される方はいつも同じ方である。

だが、コミュニケーションが図れている管理組合の場合はどうだろう。逆に意見が多すぎて収拾がつかない(笑)。

でも、マンションをもっと良くしていこう、その考えがもしそこにあるとしたら、その意見というのは貴重である。

住人を誹謗中傷するような意見は論外として、正しい意見を出し合うというのはとても大切なことだと思う。

正しいとはマンションのためにである。これが人によっては不快に感じることもあろう。

だが、私がこれまで多くの失敗と経験、そして住人の意見、これらを教訓として学び得た辞書には、正しい意見なら言うべき、そう書かれている。

他人の意見を尊重し合える、そんな会議であれば、意見は多く生まれる。そして、正しい意見というのは結局は、正しく選択される傾向にある。

私はマンションには「きれいごとは通用する」、正しくは「正論は採用される」と心に刻んでいる。逆に「心なき発言は排除される」、そう刻んでいる。これらは先人たちから学び得た私の辞書に刻まれていることだ。

先人とは、企業ではない、管理組合、そして住人からの教えである。

コミュニケーションは大切である。だが、そこには派閥などあってはならない。なぜ派閥はだめなのか。マンションは生活する場所であり、そこに権力などあってはならないからだ。

私の姉は、3年前の理事長就任中にこの派閥によって、マンションを締め出された。売却時に5百万円の損失、そして新たな住宅取得費用の負担、この二重負担を背負い今は戸建てに住んでいる。精神的に滅入ってしまい、生活を続けることが困難となり、退去を余儀なくされた。

正しい意見と良心を持たない一部の人間によって、このようなことが実際に起きている。記事に書くと長くなるので、次元の低い大人のいじめだけに留めておく。

3.助け合い精神

日頃のたわいのない挨拶からコミュニケーションというのが生まれる。コミュニケーションがあまり図れていないマンションでも、災害などをきっかけに結束力が高まり、そこから生まれるケースもある。

日頃の挨拶によって、冒頭で語った「お年寄りの安否」が自然と生まれる。

互いに人間だから価値観も違うだろうし、コミュニケーションの仕方も相手によって異なるだろう。

勿論、あまり干渉し過ぎるのは良くはない。

だが、決してひとり(一世帯)ではマンション生活は送れない。これが分譲マンションの宿命とも言える。だからそこには助け合いが必要になる。

マンション暮らしは考え方ひとつで良くも悪くもなる。他人の意見を尊重し合えるマンションであってほしいと願う。

この3つは、あくまで個人的な意見である。コミュニケーションというのは、他人から押し付けられるべきものではない。

コミュニケーションというのは、個々の管理組合、住人の価値観に委ねられる。今回の記事が「コミュニケーションについて考える」、そのきっかけになれば幸いである。

 


 

-語り

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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