マンション管理会社に求められるもの、そのひとつに公平性という概念がある。マンション管理組合の区分所有者に対し、皆公平に接しなければならないということだ。
これは、理事長、理事会にも同様に求められる。
不公平な取り扱いが仮に、自分達の住むマンションで起きているとしたらどのように感じるだろうか。
「絶対に許せない」「それは差別だ」、その行為に対して多くの方が反論すると思う。
管理会社が特定の区分所有者に対して便宜を図るといった不公平なサービスが実際に行われている。相手によって差別しているのだ。
私は管理会社時代に、これらの行為を社内で実際にみてきたから紛れもない事実である。区分所有者と接するフロント担当者、管理人、そしてトップの経営陣もこれらの行為を平然と行っていた。
人間だから好き嫌いもあろう。だが、管理組合の顧客においてこの考え方は通用しない。それは人を差別することに他ならない。
私は、この間違った言動に反論してきたわけだが、上手く管理組合とつき合うための戦術だと経営陣から言われあしらわれた。後に私がマンション管理業界を去った理由のひとつに挙げられる。
私は区分所有者全てに対し公平に接してきたわけだが、苦痛に感じることも時にはあった。
「前任者はしてくれたのに、なぜおたくはできないのか!」、厳しい言葉を浴びせられ、そのように言われると返す言葉が見当たらない。きちんと説明すると理解は示してくれたのだが、そのような苦労がつきまとった。
一度、このような取り扱いをしてしまうと、それが永遠に繰り返される。本当に怖いことでもある。
本人からしてみればそれが当たり前のことになる。これは本人が悪いのではない。管理会社の接し方に問題がある。
「ここだけの話にしてくださいね」、その過剰サービスに満足していただけるのは本人だけで、他の区分所有者がこれを知ればどのように感じるのか、そこが欠けている。
これは管理会社だけの話ではない、マンションデべロッパー、大規模修繕の施工会社、そして管理組合自体にも言えることだ。
皆平等に管理費・修繕積立金を支払っている。だからサービスも平等に受けるべきだ。
「うちは他の住戸よりも管理費・修繕積立金が高い」、これは専有面積の持ち分割合に応じた料金設定だから、サービスとは無関係の話である。
便宜を図ることは差別に繋がる。これを是非知っておいてほしい。