寒い季節になると増えるもの、それは火災である。
マンションは、鉄筋コンクリートなどの耐火構造で作られているから延焼しづらい、つい最近まで私はそのように感じていた。
今年6月14日にロンドンで発生した高層マンション(グレンフェル・タワー)の火災で、その考え方が一挙に覆された。高層マンションでの火災の怖さというものを、この大火災によって知ることになる。
このマンションは、24階建ての全127戸の公営住宅なのだが、建物の8階の居住フロアから出火、マンションの大規模が焼失し、この大火災によって多くの尊い命が奪われた。
今回の大火災について、国土交通省は先月10月6日付に見解書(資料)を公表している。
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この資料に記載されているように、直近に行った大規模修繕で、外壁材に用いられた有機系断熱材が燃焼し、大規模な上階延焼を引き起こしたと結論付けられている。
国土交通省が公表している資料は、あくまで建物の構造の在り方についてである。今回、建物の構造上に問題があったから、そこを今後の課題として改善する、それだけでは人の命は救えない。
住民の避難方法、管理体制や消火活動の在り方、そして火元の原因を作らない我々住民の防災意識の在り方なども当然に問われる。
この見解書には大事なことが抜けている。これが完全に区分けされた日本の行政の悪いところでもある。こういった資料を見る度に、私には所管の責任回避にしか映らない。
日本では法令により防火対策が義務づけられているが、昨年、東京消防庁が立ち入り検査をした東京都内の高層マンションの約8割で消防法違反が確認されている(毎日新聞ネット記事一部抜粋)。これが今の実情であろう。
日頃の防災に対する意識、そして火災に備えた安全管理を徹底することが重要となろう。
たった1台の冷蔵庫からこの大惨事が生まれた。何をなすべきか、個々の住民、そして管理組合はもっと防災について考えなくてはなるまい。