街中を歩いているとスプレーやペンキによる落書きを目にすることがあります。所有者の立場に変われば許せない行為です。
ちなみにこの落書きは、いたずらでは済まされない犯罪行為です。建物の一部に該当すれば「建造物損壊罪(刑法260条)」、該当しない場合は「器物損壊罪(刑法261条)」が適用されます(判例上)。
ところで私の家の近所にあるマンションの話になりますが、道路に面する花壇内の引込開閉盤に落書きが半年間そのまま放置されています。それを見て管理組合は知っているのだろうか?そのように感じます。
消してもまた落書きされる、そういった事情がもしかしたらあるかも知れませんが、この落書きが損害保険で対応できるということを知らない方が意外と多いので、今回記事にしました。
この落書きの多くがスプレーによるものです。スプレーによる汚損は「建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突」に該当し、マンション総合保険に加入していれば保険支払いの対象になります。
また、破損・汚損損害特約が付帯されている保険であれば、「不測かつ突発的な事故による損害」が補償されるため、同様に保険金支払いの対象になり得ます。その場合、免責金額には注意が必要です。
なので、落書きを発見したら保険会社に確認してみてくださいね。多くが支払い対象になると思います。
窓ガラスのひび割れ、破損についても同様に保険支払の対象となり得ます。ただし、本人の過失で割った場合は当然自己負担で修理しなければなりません。
そもそも各住戸の外部に面する窓ガラスは共用部分に該当します。なので、台風、風災などによる破損の場合は、管理組合が加入が加入しているマンション総合保険で対応可能です。
仮に不注意で窓ガラスを割った場合、実際に申請したことはないのですが、個人賠償責任保険に加入していれば、保険の仕組み上その保険で対応できると思います。
知っているのと知らないとでは大違いです。なので、破損・汚損を発見したら保険代理店に相談することをお勧めします。
個人賠償責任保険は管理組合が加入しているマンション総合保険に全戸対象で付保されているケースが多いです。また専有部分の火災保険にセットされていたり、クレジットカードに付保されていたりもします。いずれを利用するかは本人次第です。
ちなみに個人賠償責任保険は自転車事故にも対応できます。第三者に対する賠償だから保険の範囲は広いです。ただし、自動車やバイクによる事故は対象外となります。
困ったことがあれば、まず保険代理店に相談してみるといいです。管理組合が掛けている保険の代理店は管理会社がなっているケースが多いから、ちょっとしたことでも確認してみてください。
<注記>
近年、保険会社の傾向として、保険金の支払い頻度を保険料に反映させる動きが顕著に見られます。具体的には契約更新時に保険料が上がる、免責金額が高く設定されるといった具合です。マンションによっては引き受け拒否されるケースが見受けられます。
そこで、個人賠償責任保険は個人が加入している保険をできるだけ利用してもらうとか、個人賠償責任保険を管理組合の保険から外すといった動きが今後増えるものと思料します。
メガ損保の東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険は、2021年に設備の破損や水漏れなどが多発するマンションの保険料を4~5割高くする旨の報道記事が日本経済新聞から発信されています。
保険料の全体的な見直しは管理会社任せではなく管理組合主導で行うべきだと思います。