マンションの管理組合で加入する火災保険、個人で加入する火災保険については、皆さんご承知のとおりここ数年でかなり値上げがなされ、更新時にどの保険会社にすれば良いのか、色々と悩まれることが多いと思います。
そこで苦労されるのは、当期の理事会の皆さんですよね。
保険の更新手続きについて、「理事会一任」とする管理組合が多いと思われますが、手続きを簡略化する一方で、理事会にとってみれば、意外と過剰な負担になったりもします。
そこで、前回の保険内容のまま継続する方が無難とか、管理会社から提案されたものを鵜呑みにする、そんな感じで更新されるケースもあるでしょう。
しかしながら、保険内容とか保険会社というのは、どこも同じではなく、マンションの実情に合わせて見直す必要があります。
近年、保険料を少しでも抑えるために長期契約(5年契約)を結び、割引適用を受けるケースが増えています。単年契約よりも安くなるので、長期にした方が負担が少なくて済みます。
そこで複数の保険会社から見積もりを取り寄せ、比較検討を行うわけですが、保険会社の商品はどこも同じではありません。なので、保険料だけで判断すると後に後悔を生んだりします。
まずそこに注意が必要です。
保険会社によって、水漏れ調査費用と施設賠償の保証内容が異なったりもします。具体的には、水濡れ調査費用の年度枠は100万円、これが一般的な基準になっていますが、三井住友海上火災の場合は、1回の事故に対して100万円までという設定が行えます。
※あいおいニッセイ同和損保は、以前は年度枠を300万円まで増やせましたが、今は不明です。(要確認)
年度枠というのは、1年の保険期間、つまり保険の始期が2020年10月1日の場合、2020年10月1日から1年間という意味です。
例えば、2020年の10月に漏水事故が発生し、その時に水濡れ調査費用を30万円要した場合、残りは70万円ということになります。そこでよく聞かれるのが、「1事故に対してどれくらいの調査費用が掛かるんですか?」という質問です。
原因の特定が容易な場合は、費用はそんなには掛かりませんが、それとは逆に複雑な場合、例えば、住戸内の床を剥いだり、壁を剥いだりして調査を行う場合には、かなりの費用が掛かります。
調査費用の中には原状回復の費用が含まれますので、状況によっては数十万単位になります。特に建物が古くなってくると漏水事故が頻発する傾向にありますので、100万円枠では不十分といったケースも出てくるでしょう。
そもそも論になりますが、保険というのは負担軽減するために加入するものなので、個人的には手厚い保証の方がありがたいと感じます。
5年間の長期保険を掛けることになるから、マンションの建物の状態とか過去の漏水事故の状況とか、実情を踏まえ事故発生率を予想してみることも重要になってきます。
大規模修繕の有無も関係してきますよね。特に工事保証の期間とかも情報として必要になります。手入れをしていれば事故発生率は低くなりますし、工事保証でカバーできるケースもありますからね。