近年、日本各地で発生している集中豪雨ですが、マンションなどの建物において雨水による漏水事故が増えていると聞きます。
特に気温の高い夏場においては海水温度が上昇しているので、大気中の蒸発気量が増え、それが大雨の要因になっていると言われています。
度重なる集中豪雨により、雨漏りによる漏水事故が発生し、対応に苦慮されているマンションもきっと多いと思います。
マンション内で漏水事故が起きた際、保険でスムーズに対応を進めることができましたが、今は少し様相が異なります。
マンション総合保険は車の保険と同じで、保険金を受け取ると更新時の保険料が高くなる、今は使えない保険と化しています。これからの保険の考え方は、事故件数によって保険料は大きく変わる、このことを考慮しなくてはなりません。
なので、状況によっては保険を使わずに実費で補修するといったケースも出てくるでしょう。(詳しくはこちらの記事👇)
マンション管理組合|過去の事故件数によって保険料が大きく変わる!
漏水の原因箇所が共用部分の場合、管理組合は被害者(水濡れの損害が生じた住戸)に対して損害賠償責任を負います。
しかしながら、保険を使うと更新時の保険料が上がるので、管理組合と被害者との間で「水濡れ箇所の原状回復は行わない」、そんな示談がなされるケースが状況によって出てくるかも知れません。(⇒ 個人的にはあり得ない話だと思います。)
私の知り合いが住んでいるマンションで実際に管理組合から示談交渉を持ちかけられたという話を聞きました。(⇒ 実例としてあるから驚きです。)
水濡れの程度にもよりますが、管理組合と揉めたくないから泣く泣く示談に応じるといったケースもあるでしょう。でもこの「揉めたくない」という気持ちは分かりますが、そこできちんと対応しておかないと後に色んな問題が生じます。
例えば、マンションを売却する際に、そのままでは売れないので自費で修繕を行う羽目に遭うとか、新たに購入された方から、雨漏りの修繕を要求されるなど先々面倒なことが起こり得ます。
また、その時はよくても、後にクロスにカビが生えたり、変色したり、押し入れの木材が腐って、物が置けなくなるといった後悔が生まれたりもします。
後悔したときに管理組合に相談しても、「あの時、水濡れ箇所の原状回復は行わないって示談しましたよね」って言わるのがオチです。
そこで、ご自分が加入している火災保険の保険会社に相談してみると、「保険申請すれば、保険金は下りますよ」と言われ、ひと安心と思った矢先、保険申請後に保険会社から「保険金はお客様に支払いますけど、今回の水濡れの原因は管理組合になりますので、そこに請求させていただきます」と言われ、これまた面倒なことに巻き込まれます。
この請求のことを「求償」と言います。最近、この言葉をよく聞くようになりました。
求償とは、一般的には賠償や償還を求めることをいう。法律上は、第三者の加害行為による事故で保険会社が保険金を支払った場合、被保険者の第三者に対する損害賠償請求権を保険会社が代位取得することにより、被保険者に代わって保険会社が第三者に請求し、保険金を返還してもらうことを意味する。具体的には、交通事故の被害者は加害者に対して損害賠償請求権を有するのだが、保険会社が事故の被害者である契約者に対して保険金を支払うことにより、事故の加害者に対する保険金請求権を得ることになる。保険の場合の求償とは、保険会社がその加害者に対して請求することをいう。
なので、軽々に示談に応じると後に面倒なことになるので、そこはきちんと管理組合に対応してもらうことをお勧めします。
本来使えるはずの保険が使えない、そんな矛盾がマンションの保険には存在することを読者の皆様に伝えたくて今回記事にしました。
前述の求償もそうですが、保険についてもっと知るべきだと思いますし、容易に示談を持ちかけたり、示談に応じたりすべきではない、そこに注意が必要です。