近年、管理組合が加入しているマンション総合保険の保険料の値上げに伴い、長期契約(5年契約)に変更された管理組合が多いのではないでしょうか。
長期契約にあたり、管理費会計に余裕のない管理組合におかれては、5年分の一括保険料の一部を修繕積立金会計から支払うケースが考えられます。
管理費会計の不足分については、修繕積立金会計から支払うことはできないため、苦肉の策として修繕積立金会計から借りるといった方法がよく用いられています。
修繕積立金の取り崩しにあたっては、総会での決議を要しますが、この手続きを経ずに支払いが行われた場合、後に揉める要因となりますので、その場合、臨時総会を開催するか、前期の通常総会時に前もって承認を得ておく必要があります。
多くの場合、管理会社からこのような提案がなされるわけですが、これは今回の契約に限ったことではありません。管理費会計に余裕がなければ、以後の保険契約の更新の際にも同じことが繰り返されます。
とりあえず修繕積立金会計から借用して一括保険料を支払うという考え方は、保険料の値上げ対策としてやむを得ない、そのように感じたりもしますが、かといって修繕積立金会計に余裕のある管理組合はそんなに多くはないと思います。
保険料が高額なマンションでは、5年分の一括保険料は莫大な金額になるので、計画修繕を実施する際に今度は修繕積立金が不足するといった事態を招きかねません。
管理会社の提案は、あるところから借りる的な発想で終わってる感があります。なので、管理組合自身がしっかりとその先のことまで考える必要があります。
修繕積立金会計への返し方、計画修繕への影響、会計処理方法、管理費会計の単年および数年先まで捉えた収支のチェックや区分所有者への説明など事前に考えなければならないことはたくさんあります。
管理費会計の収支において、恒常的な赤字になるとすれば、管理費の値上げ、管理費会計の費用の見直しは必須です。また保険会社の見直し、保険仕様の見直しなども必要になります。
保険会社の見積りは、2、3社ではなく、以下の5社から取り寄せることが望まれます。
1⃣ 東京海上日動株式会社
2⃣ 日新火災海上株式会社
3⃣ 三井住友海上火災保険株式会社
4⃣ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
5⃣ 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
私の住んでいるマンションでは、保険料の値上げ、消費税の増税により、管理費会計の余剰金が5年前に比べるとかなり減りました。管理費会計の支出は増える一方なので、そろそろ全体的な見直しを行う時期なのかも知れません。