近年、マンション総合保険の相次ぐ値上げにより、マンションの管理組合において、個人賠償責任保険特約の加入の是非について、議論されることが多いと聞きます。
私の住んでいるマンションでも、個人賠償責任保険特約の加入の是非について、今年の通常総会時に意見が出ました。近年、保険料がかなり値上げされていますので、個人賠償責任保険特約を管理組合の保険から外して所有者個人で加入するといった意見です。
個人が加入している車の保険とか火災保険などに個人賠償責任保険特約が知らぬ間にセットされていたり、財布の中のクレジットカードにも付保されていたりと、個人賠償責任保険に加入されている方が多いのではないでしょうか。
確かに損害保険会社によっては、全体の保険料に占める個人賠償責任保険の保険料の割合が高かったりしますので、この特約を外すといった意見は正論のように感じます。
しかしながら、マンションの所有者の中には、個人賠償責任保険の存在すら知らないとか、知っていても補償内容について十分理解されていなかったりもします。
なので、この個人賠償責任保険特約の議論に際しては、まず補償内容を十分理解する必要があります。個人賠償責任保険の詳細については、保険会社各社のホームページで知り得るので、敢えて内容については触れませんが、気を付けて欲しい点だけ述べます。
クレジットカードに付保されている個人賠償責任保険は、年齢制限が設けられていたりもしますので、そこに注意が必要です。また、色んな保険に特約として付保されている個人賠償責任保険は全て同じではないので、そこにも注意が必要です。
それともうひとつ大事なのは、保険会社の免責です。免責とは「補償が出ない部分」という意味合いになります。保険会社からしてみれば「出さない部分〕になります。例えば、10万円の損害に対して10万円が保険適用となり免責5万円の場合、5万円は自己負担になります。
契約者からすれば、そこが重要ですよね。5万円は痛い出費ですからね。しかしながら免責なんて普通気付きませんし、きっと多くの方が事故が起きた時に気付くことが多いと思います。
これは免責金額の話になりますが、それ以外にも前述の年齢制限とかこの場合は出ないといった保険適用外の免責にも注意が必要です。これらは約款に記されていますが、普通読みませんよね。私は小さな字は老眼で読めません(笑)。
個人賠償責任保険特約の是非について議論される際は、色んな情報を前もって知っておく必要があります。そうしないと正しい判断はできませんからね。
ちなみに私の住んでいるマンションでは、個人賠償責任保険特約は全戸に付保しています。保険料は高くなるけど外さないという結論に至りました。
そうなった経緯については、個人で加入してもらうことに限界があり、万一、漏水事故などが起きた際に、未加入の住戸があれば対応が遅れてしまい、生活支障を来すので、金銭的なリスクよりも生活面のリスクを回避する方に重きを置きました。
前述の個人加入の限界というのは、例えば、その瞬間に全戸加入が確認できても、その後、保険の更新をうっかり忘れたとか、売買の際に保険未加入のケースが考えられます。
未加入ならその所有者の責任でしょ、実費負担すればいいじゃん、と言いたいところですが、被害額によっては実費ではすぐに払えないケースも出てくるでしょうし、そもそも論になりますが、そのための保険加入ですから、分譲マンションの場合、確実な方法を採用することが望まれます。
マンション総合保険に個人賠償責任保険特約を一斉に付ける意義とか原点はそこにあるように思えます。
私の管理会社時代に、漏水事故とかベランダ・バルコニーの落下物による物損事故が起きた際に、この個人賠償責任保険が全戸に加入していることで、対応がスムーズに行えたり、所有者の方も予期せぬ事故が起きた際に、この保険で救われるシーンを数多く見てきましたからね。
個人賠償責任保険特約は外すべきでない、これは私の個人的な意見ですが、参考にしていただけると幸いです。