管理組合が加入しているマンション総合保険は、ここ数年、保険料の値上げが相次いでいる。火災保険、地震保険の料率が引き上げられ、今後も引き上げは続く。
今年1月から改定された地震保険料、今年から3回にわけて都道府県毎に段階的に料率が改定され、この3回を合計した値上げ率は最大で50%、全国平均でみると19%の引き上げとなる。逆に引き下げとなる都道府県もある。
保険料というのは、管理費の支出項目の中でも負担の大きいものと言える。今回の値上げで更に負担が増えることになる。
そこで必要になるのがマンション総合保険の中途更改、そして保険会社、保険商品、契約期間の3つの見直しである。
料率が上がる前に中途更改し、そこで最長の5年契約にすることが得策と言える。逆に料率が下がるマンションでは、その下がった後に中途更改することがポイントになる。
中途解約の場合、未経過期間の保険料はほぼ満額で返ってくる。違約金というものは発生しないが、解約日によっては若干のロスが生じることもある。この返還額を事前に知りたければ、保険会社に言えば返還額が記された計算書がもらえる。
長期契約は割引される
保険料というのは、単年契約よりも長期契約にした方が単年ベースで保険料は安くなる。期間は最大5年となるが、長期にするほど割引率が高くなる。
同じ内容の保険を毎年掛けているのであれば、長期契約にすべきである。前述の中途解約が可能だから単年にこだわる必要はないと思う。
損保会社によって保険料は異なる
マンション総合保険の仕様というのは、各社大きくは変わらない。違いがあるとすれば免責規定、補償の限度額、そして保険料の違いである。
例えば、水濡れ調査費用というのがある。これはマンション総合保険に付保されるオプションにあたるが、多くのマンションではこの調査費用が付保されている。
この調査費用は、ほとんどの損保会社で1事故かつ1契約ごとに100万円が支払限度となっている。
ただし、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の商品は300万円まで限度額が増やせる。
マンションの漏水事故というのは意外と多く発生している。一度漏水事故が起きれば階横、階下へと被害が広がる。調査費用というのは100万円が上限だ。1回当りの事故に関わる調査費用は状況によっては多額を要する。それが年に2回以上起きれば100万円を超えるケースも出てくる。超過分は保険対象外となるから実費負担となる。
この300万円の限度額に増やせるオプションは個人的には良心的なオプションだと感じている。保険料は若干高くはなるが、事故発生後の迅速な対応を鑑みれば管理組合にとっても有益となろう。
長期契約にする場合、各損保会社から見積りを取り寄せるのが基本となる。単年の違いが長期でさらに違ってくる。ここは慎重に検討すべきであろう。
免責金額を設けることで保険料は安くなる
保険商品によっては、免責金額を設けることができる。免責金額とは、設定した免責金額以下の損害であれば保険金は支払われないことを意味する。
この免責金額を設けることで保険料は安くなる。なので、マンションの立地環境によっては、費用対効果という観点で検討の余地はあるだろう。ただし、これまで生じていなかった竜巻、集中豪雨、台風などの被害がどの地域でも起こり得るという点は考慮すべきだと思う。