分譲マンションには管理組合という組織がありますが、その地域にも自治会(町内会)という組織が存在します。意外とこの2つの組織は混同されやすいので、今回、双方の違いをテーマに語らせていただきます。
管理組合と自治会の違いは大きく4つある!
1⃣ 当事者の違い
管理組合は、そのマンションの所有者で構成される組織、一方の自治会は、その地域の住民等で構成される組織である。
2⃣ 目的の違い
管理組合は、そのマンションの維持管理を目的とする組織、一方の自治会は、その地域に居住する住民同士の互いの親睦を図り、地域生活の向上を目的とする組織である。
3⃣ 法的な拘束力の違い
管理組合は、区分所有法(法律)で定められた組織であり、当然に法的な拘束力がある。一方の自治会は法律によって定められた組織ではなく、任意で作られた組織である。なので自治会は法的な拘束力を持たない。
4⃣ 加入意思の違い
管理組合の加入は、マンションの所有者になれば当然にその構成員になる。なので、所有者である限り脱会することはできない。一方の自治会は任意加入となり、脱会も任意である。
管理組合と自治会は、運営目的が異なる全くの別組織になりますが、マンション管理の実務において、区別することなく管理が行われていたりもします。
例えば、管理組合が徴収する管理費と併せて自治会費を徴収するケースが挙げられます。本来なら別々に徴収すべきですが、マンションなどの集合住宅の場合、世帯数が多いから一軒一軒自治会費を集めるのは大変な作業になります。
そこで便宜上、管理費と一緒に自治会費を徴収しているに過ぎません。しかしながら、管理費の徴収にあたっては、多くの管理組合が口座振替を利用していますが、口座振替には手数料が掛かります。
この手数料を管理組合が負担しているとすれば、自治会に掛かる経費を管理組合の管理費から支出していることになります。管理費の目的からすれば、自治会のための経費を管理組合が負担するのは間違いです。
こんなマンションも存在します。個々の住人から自治会費は徴収せずに管理費から一括で支払うケースです。これも管理費の使途に矛盾しています。(これは是正した方がいいです。後のトラブルになりかねません。)
自治会に関係する議題を管理組合の総会に上程する、これも矛盾しています。自治会役員の承認とか理事会役員との兼任、自治会費の料金設定など、これらは自治会の決め事であって、管理組合にとって関係のない話です。
管理組合と自治会の違いを知ることで、色んな間違いに気付きます。
同じ間違いでも許容できるものとそうでないものがあります。前述の自治会費の徴収は、個別徴収には手間が掛かるので便宜上管理費と一緒に徴収することは許容範囲かと思います。ただし、管理組合の会計処理上は預り金として処理することが望まれます。(管理組合のお金とは区分する処理方法です。)
管理組合によっては、総会終了後に自治会の集会を開催するところがありますが、これが実務として正しいやり方だと思います。
管理組合と自治会の違いについて私見を述べましたが、少しでも参考になれば幸いです。
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