管理組合

マンション管理組合|不在組合員の協力金について考える!

2022年6月17日

 

 

不在組合員の(非居住の組合員)の協力金とは、管理組合役員(負担)を免除する代わりにその対価として支払う費用のことを指しますが、最高裁の判例では、その必要性と合理的な範囲内の協力金は適法と述べており、この判決が下された2010年以降、徴収する管理組合が増えたように思えます。

最高裁判決:2010年1月26日



この協力金について、個人的に疑問に感じることがあります。それは、「役員を免除する代わり」という点です。

この役員の免除に関しては、不在組合員に限らず、輪番制を取り入れているマンションで居住組合員が役員を辞退する場合、状況にもよるでしょうが免除することがあります。

その場合、その方からも同様に協力金を徴収すべきとの意見が出た場合、どう対処するのでしょう?

不公平さを解消するために協力金を徴収するといった大義であれば、そこに矛盾が生じます。

なので、協力金を徴収する場合は、そういったケースも考慮すべきだと思います。

 

 

管理組合によっては、前述の不公平感を無くすために、役員の辞退者に対して同様に協力金を課しているところがあります。

これで公平になると思いきや、新たな問題が生じます。

役員は面倒だから協力金を支払って免除してもらおう… そうした考えを持たれる方が必ず出ます。

 

 

と、個人的には言いたくなりますが、実際に居住組合員から協力金を徴収しているマンションでは、辞退される方が意外といらっしゃいます。

マンション居住者の高齢化が進むと役員の成り手不足という問題を抱えます。協力金の徴収によって、役員の成り手不足を助長させるという点にも注意が必要です。

不在組合員の協力金といっても、深堀すると色んな問題があることを是非知っておいてください。

協力金を徴収する話が出たときは、色んなことを考慮しながら、細かなルール決めが必要になります。

それを面倒だと感じるのなら、協力金を徴収するのは避けるべきだと思います。

 

 




-管理組合

執筆者:

関連記事

マンション管理組合|相続放棄による所有者不在は深刻な問題!

  年々相続放棄が増加していることを皆さんご存知ですか? この相続放棄ですが、マンション管理組合にとって無関心ではいられません。 なぜなら、マンションの相続放棄は「所有者不在」を生むからです …

管理組合の運営で欠かせないのが継続性

  企業には事業を継続するという目的があります。同じようにマンション管理組合にも継続性が求められます。今回、役員の任期を交えて管理組合の継続性について語りたいと思います。   1年 …

分譲マンションの名簿の作成と運用について!

  名簿は既に作成されている マンション入居前に提出する書類の中に「組合員届」「入居届」「第三者使用届」というものがあります。 マンション毎にその名称は異なりますが、誰が区分所有者で誰が住ま …

マンション管理は管理組合自らが行うべき|他人依存は危険!

マンション管理の主体はあくまで管理組合です。管理会社に委託するにしても、そこに自分たちの意思がなければなりません。任せっぱなしにするのはとても危険です。 しかしながら、マンション管理のやり方が分からな …

管理組合の組織の在り方について考える!続編

  野球界のイチローと言えば、その名を知らない人はいないでしょう。 メジャーリーグで数々の偉業を成し遂げた現役時代の活躍ぶりをみて、きっと多くの日本人は勇気づけられたと思います。 現役引退後 …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー