近年、多くのマンションでは、総会において書面による議決権行使を採用しています。各議題の賛否を書面によって行使するという方法は、一見すると合理的な方法に思えますが、果たして良い方法と言えるのでしょうか。
今回、この書面による議決権行使の在り方について、個人的な意見を交えながら語らせていただきます。
総会議案書が全て
総会前に各住戸へ総会議案書が配布されます。書面による議決権行使を採用しているマンションであれば、その中に議決権行使書が添付されています。
各議題の決議にあたっては、賛成か反対のいずれかに〇印を付ける方法が一般的に用いられていますが、その賛否は総会議案書に記された内容でしか判断することができません。過去の総会議事録や理事会議事録なども参考資料になり得ますが、多くの方はそこまで遡って確認はしないでしょう。
なので、総会議案書の作成にあたっては、そこを理解しておく必要があります。結論だけが記された薄っぺらい説明書きでは賛否の判断材料になり得ません。そんな議案書が多いのが実情です。
理事会や管理会社は、薄っぺらい説明書きでも、結論に行き着くまでの経緯は分かっていますから、理事の方がそれを読んでも容易に把握できます。
例えば、防犯カメラの設置に関する議題で、「駐輪場において自転車の盗難が多いから犯罪抑止のために防犯カメラを設置する」、そんな記述を見かけますが、どれだけの頻度で盗難が発生しているのか、他に対策は講じれないのか、見積業者の比較検討は行ったのか、駐車場にも設置して欲しいなど、簡潔に書くとこのような意見が水面下で生まれたりもします。
アンケートをとったのであれば、アンケート結果を記述するとか、防犯カメラを設置しなければいけない理由、その業者に決めた根拠、そんな説明文書がほしいものです。
そこで、そんなに知りたければ「過去の議事録を読めば」って意見が出たりもしますが、前述のとおり、多くの方は過去の議事録など読んだりはしません。
特に書面による議決権行使を採用しているマンションでは、読み手にとって分かり難いものでは意味を成しませんから、そこには配慮とか工夫は欠かせません。
総会に出席するとしたら、そこで分からないことは質問できますよね。提案者側(理事会)もそこで補足説明を行ったりもできます。
要は、「互いに一方通行でしかない」、それが書面による議決権行使には存在するってことです。そこが伝えたい部分になります。
総会で話し合うことの大切さ
総会に出席して参加者の意見を聞くことにより、賛否の意向が変わったりもします。私は毎年欠かさず通常総会に出席していますが、出席者の意見によって議場の空気が変わることが多々あります。反対ムードから一転、賛成ムードへ…(その逆もありますね)
総会での話し合いというのは、議案書に記されていない有力な賛否の判断材料になったりもします。話し合いによって物事を決めるのが総会の真の姿だと私には思えてなりません。
書面による議決権行使は、どうしても総会に出席できない方のための「やむを得ない最後の手段」であってほしいと願います。