語り

飲食店内における迷惑行為が社会問題になっている件

2023年2月6日

 

今年に入り、回転ずしチェーン店での迷惑動画がSNS上で拡散され、社会問題になっています。 

その数日後には、うどんチェーン店、カレーチェーン店、焼き肉店と次から次に迷惑動画の問題がニュースとなり、模倣者が後を絶ちません。

被害を受けた飲食店は、その後の処理に追われ、回転ずしチェーン店の親会社では時価総額が一時約170億円下落したといった報道が流れましたが、今回の迷惑行為がその要因だとすれば、SNSの影響力は計り知れません。

これらの迷惑行為は、飲食業界のみならず利用する客側にとっても大きな影響を与えます。

長引くコロナ禍で苦しい経営に追い込まれた飲食業界ですが、ようやく客足が戻りつつある中でこうした迷惑行為が次々と発生するから、飲食業界にとっては痛手以外の何ものでもありません。

個々の動画を観ると、若者が悪ふざけでやっていて、楽観的で自己満足を得るための印象が目に付きます。

そこには当人以外の撮影者がいて、それを見て笑っている声に更に不快さを感じて、悪ふざけでは済まされないことを分かっていないところに怖さを感じます。

これらの迷惑行為について、有名人、著名人たちがテレビやSNSを通じて自らの論説を唱えていますが、加害者を擁護する人もいれば叱責するといった様々な意見が飛び交っています。

中でも擁護する人が意外に多いことに驚きましたし、影響力のある方が擁護すること自体に問題があるように思えます。

私が思うに、今の時代は悪いことをした子供に対して本気で叱る人がいない、庇護的な大人が増えているように思えます。

悪いことをしても本気で怒らない、だから悪いことの分別がつかない子供に育ってしまう…



少し前の話になりますが、私の住んでいるマンションでエレベーターの籠内にある階数表示のボタンを全て押すといったいたずらが横行しました。(余談になりますが、エレベーターの機種によっては、階数表示の点灯ボタンをもう一回押すと消えます。)

 

 

掲示板には注意喚起の貼り紙がなされていましたが、いたずらの件について管理員に尋ねると「子供のいたずらだと思うが特定できないから未だに続いている」と聞きました。

そこで私が「防犯カメラの映像確認はしたの?」って尋ねたら、「理事長に相談したら犯人捜しは何かと問題になるし、あまり揉め事には関わりたくない」と断られたそうです。

その後、かご内の落書き事件が起きて、周りの居住者からの声もあってようやく理事長は防犯カメラの確認を行いましたが、いたずらをしていたのは複数の子供(小学生)でその中に理事長のお子さんもいたそうです。

最初はひとりの悪ガキがいたずらをして、それを見て他の子供が真似をする。誰も注意を与えないからいたずらがどんどんエスカレートする。

子供は掲示物を読まないから、親がその掲示物を読んで「エレベーターの中でいたずらはしてないよね」「他の人の迷惑になるからしちゃだめだよ」って我が子に伝えれば悪いことだと悟ります。

注意をしないと分からないのが子供であって、故に前述のような伝達は欠かせません。そんな些細なことも「しつけ」になるんですよね。

冒頭の飲食店でのいたずらも、同じくらいの年代の人の動画を観て悪ふざけで真似をする。注意を与える人がいないから悪い事だと気付けない。というのも一理あると思います。

そこで警察沙汰になって大事だと知れば、相手方に謝罪するといった流れに至っています。

 

 

そうなる前にやるべきこと、それが「しつけ」だと思いますし、家庭をはじめ、学校でもSNSの影響の大きさとか怖さを伝えるべきです。

「ゲンコツ3発と皿磨き1週間くらいで許してあげてよ!」と論説した元アナウンサーの記事がニュースに取り上げられていましたが、これもまた楽観的でかなり危険な考え方です。

ゲンコツ3発って、今の時代にそれを実行したら犯罪になります。相手が負傷すれば傷害罪、負傷しなくても暴行罪が成立します。皿磨き1週間を強要することも問題になります。

擁護する人に共通して言えることは、SNSの本当の怖さを知っていて、ネット叩き、ネット私刑を必ずしも悪とする考え方を持たれています。

確かに過剰なネット叩き、ネット私刑は問題だと思います。ですが、今回の件で一番悪いのは迷惑行為をやった当人とその関係者です。そこを履き違えた論説を見聞きする度に、問題解決にはならないじゃんって感じます。

某大学の特任准教授の論説の中に、今回の迷惑行為を「ミス」「失敗」で片付けようとする発言がありましたが、多大な迷惑を被った飲食店側の立場、利用する客側の立場を考えれば、簡単に「ミス」「失敗」で片付けられる話ではありません。

被害にあった飲食店は、模倣者を防ぐためにも厳正に対処してほしいと願います。相次ぐ迷惑行為を終わらせるためには、多額の損害賠償請求とか反面教師となる既成事実を作らいないと再発は防げないと思います。

某テレビ番組に出演された弁護士の見解によると、こうした迷惑行為は、「器物損壊罪」「業務妨害罪」に該当するそうです。また民事の場合、共犯者がいるなら共犯者全員を訴えて「損害賠償請求」ができるとのこと。

本当に次から次へと、悪ふざけにも程があります。

とまあ、長い記事になってしまいましたが、飲食店内における迷惑動画が拡散されている件について、気になったので記事に取り上げました。

 

 


 

-語り

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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