国土交通省は、マンション管理の実態を把握するために5年毎に管理組合を対象としたアンケート形式の調査を行っています。
今年4月に公表された「平成30年度マンション総合調査」の中で気になった項目をまとめてみました。
永住意識の高まり
マンションに対する考え方が「仮の住まい」から「永住」へ変わったとよく言われますが、今回の調査結果でそれを窺い知ることができます。
出典:国土交通省/平成30年度マンション総合調査
「永住するつもりである」が過去最高の62.8%と前回(平成25年度)の調査より10%上昇しています。一方で「いずれは住み替えるつもりである」は過去最低の17.1%と前回の調査と大きく変わっていません。
永久意識が高まることで、マンション管理に対する意識が高まれば良いのですが、皆さんの住まれているマンションは如何ですか?
マンションの高齢化
日本における高齢化は世界に類を見ない速度で進んでいると言われていますが、マンションの居住者の高齢化も同様に進んでいます。
70歳代以上の割合は22.2%と前回の調査より3.3%上昇し、築年数が古いマンションほど70歳代以上の割合は高く、昭和54年以前のマンションでは、70歳代以上の割合は47.2%という調査結果でした。
居住者の高齢化により心配されるのが、役員の成り手不足、そして孤立死です。私の住んでいるマンションでも高齢を理由に役員辞退の申し入れの声を聞くようになりました。また、高齢者の安否を気にする声が増えています。
永住意識の高まりは居住者の高齢化と連動するため、マンションの高齢化対策は必須と言えます。皆さんのマンションでは高齢化対策は進んでいますか?
空き家問題
日本における空き家問題が最近ニュースでよく取り沙汰されますが、マンションも他人事ではありません。
空き室のあるマンションは37.3%と前回の調査より3.6%減っていますが、築年数が古いマンションほど空室割合が高くなる傾向が見られます。
空き家の増加で心配されるのが、犯罪や災害リスクの上昇、そして資産価値の低下です。私が住んでいる街では既にスラム化したマンションがあります。窓ガラスが割れ、火災跡がそのまま放置され、壁にはペンキによる落書き、そのマンションに出入りしているのは日本人ではありません。あまり書くとヘイトスピーチになるのでこの辺で…
マンションの建替え
マンションの建替えは難しいと言われていますが、これは区分所有建物という特殊な形態が足枷となっています。マンション管理の運営ですら難しいのに超難題の建替えが上手くいくとは思えません。
マンションを作っている分譲会社が建替えを意識することはありません。マンションは永遠なんて神話を信じているからです。作り手ですら見えないものを所有者の皆さんに見えるはずがありません。
前述の永住意識の高まりと逆行するギャップがそこにあったりもします。
<参考資料/国土交通省>