最近身近なところで、管理会社が管理委託契約の更新を拒否する話をよく耳にします。こうした話は 5年くらい前から起き始めています。
元業界人の意見として、管理会社が契約の更新を拒否するなんて余程のことが無い限り考えられないことです。これが近年では当たり前になっている感があります。
契約解除にあたっては、管理会社そして管理組合それぞれに個別の事情はあるかと存じますが、管理会社に関して言えば、少し勘違いされている感があるように思えます。
人件費の高騰で管理委託料の値上げに応じない管理組合に対して、解約の判断を余儀なくされるというのは口実であって、実際のところ、社員の定着率の改善とか社内の合理化が図れずに、管理会社の内情により契約継続が維持できないというのが根幹的な要因だと感じます。
マンションの永住志向により、そこに住まれる方の要望は昔に比べると多岐に渡り確実に増えています。そこで管理会社の業務の煩雑さが増しているのは確かなことですが、それに順応できずに未だ場当たり的な管理体制を続けている、そこに問題があるように思えて止みません。
そうなるとそこで働く社員がストレスを抱えてしまい、業務の煩雑さに苦しみ、結果として退職に至る、そこを経営陣は正しく理解していない、もっと言えば仕事をしていないということです。
今の時代、管理会社の経営に欠かせないのは合理化です。これは社内業務体制の合理化であって、顧客との契約を打ち切ることが合理化だと経営陣は勘違いされています。
社内業務体制が不十分だから未だ横領事件は続いてるし、社員の定着率が悪いんですよね。
今起きている管理会社の更新拒否は、管理会社による受託先管理組合の選り好みに思えて止みません。
確かに所有者の中にうるさい方がいたり、過剰な要望とか要求を口にされ、フロントマンがうつ病になるという話を最近聞きますが、その要因を生んでいるのはいったい誰なのか、そこが重要なんですよね。
単に言い掛かりを付けてくる人は、世間一般的に言われているクレーマーです。そこにもし、誰もが納得できる理由があるとすれば、その表現は不適切です。
でも管理会社の解釈はそれとは異なります。理由のあるなしに関わらずうるさい人、それがクレーマーに該当し、管理会社が強気な態度をとらざるを得ない状況まで追いつめられると解約の選択肢しかないわけです。
管理会社に関する記事をこれまで数多く書き綴ってきましたが、本当に管理会社って学習しないんですよね。お客様に喜んでもらうとか信頼してもらうためにどのようにすべきかなんて考えない、だから旧態依然の管理会社がやたら多く、そんなサービスでも継続できてるから不思議に思えて止みません。
管理会社の対応が良く、管理組合にとって有益な提案とか、色んな意味で頼りになる存在であるとしたら、人件費の高騰という理由で値上げ要求されても、きっと多くの管理組合はそれに応じると思います。
低いサービスに対して高いお金を支払う人なんて普通いませんよね。そんなサービスを提供しているという自覚が管理会社には足りないんです。(本当に…)
管理組合が求めているものを業務上知り得ているのに、それを十分に活かしきれていません。それは管理会社の構造的な欠陥であって、経営陣に足りないものです。
前述のお客様に喜んでもらうとか、信頼してもらうためには企業努力は欠かせません。どの業界もそこは同じですよね。
フロントマンや会計事務の担当者が頻繁に入れ替わる会社は、すべて経営陣の無能さにあります。教育指導の在り方とか合理化っていったい誰が行うのですか?
何事も最初が肝心です。経営理念もそう、社内体制のシステムの構築もそう、ルーチンワークもそうなんですが、業務の煩雑さを理由に場当たり的な管理を行っている感は拭えません。
それが色んなところでミスが生じ、お客様からの信頼を損ねている、それが実情ではないでしょうか。
そこを理解せずにいると、うるさい人を自らが作り、自らが苦しみ、その付けを管理組合に押し付けているように思えます。
管理会社の合理化って簡単そうで実は途中から行うにはかなりの時間と労力が掛かります。だから結果としてその多くがやれていないんですよね。
ずいぶん前になりますが、ネットサーフィンしていたら、大手管理会社の合理化による解約申し入れの受け皿として、自主管理アプリを推奨する記事を読みましたが、もっと先(他)にやることあるでしょと言いたい。
マンション管理組合と管理会社の委託契約解除の真意については、個々の価値観によりますが、私の記事が少しでも参考になれば幸いです。