マンションの維持管理には多額の費用を要する。30年見据えれば億単位のお金が掛かる。この大金をマンションの所有者が住戸の持ち分割合に応じて負担している。
極論を言うと、同じ住戸数、同じ仕様と仮定した場合、マンションの維持費が30年間で5億円掛かるマンションもあれば、4億円で済むマンションもあるということだ。この1億円の差は大きい。「時は金なり」ということわざがあるが、まさにこのことだと思う。
なぜこのようなことが起きるのだろうか。4億円で済むマンションの管理組合であれば、その答えは既にお気付きかも知れない。
その答えは「契約の相手を選ぶ」と「かしこさ」にある。
管理会社毎に管理委託料は異なる。それが新築でマンションを買った時に既に管理会社が決められている。その段階では選択の余地はない。
見直しがなされないまま30年が経つと、前述の金額の格差というものが生じる。これは明白な事実である。
20年後にそれに気付き、後悔されている管理組合は実に多い。
契約の相手とは、主として管理会社になるのだが、大規模修繕の工事業者、保守点検業者、保険会社などあらゆる契約先を意味する。
かしこさとは、簡潔に言えば、比較検討することである。
この積み重ねが30年後に大きな格差を生むことになる。
全ての費用項目において適正価格を知る、本当に必要なことだと思う。
管理会社に支払っている管理委託料は、ちょっと前まではどんぶり勘定だった。費用項目が細分化されたのは、マンション管理適正化法の施行がきっかけだ。
エレベーター保守点検費、定期清掃業務費、日常清掃業務費、管理員業務費など、複数の業者から見積りを取り寄せ、相場価格を知ることが重要である。これが適正価格となる。
本来であれば、この適正価格を予算として組み込むことが望まれる。
だが、実際には、管理会社の設定金額(お膳立てされた金額)が計上されてる。これでは何も変わらない。
予算は本来管理会社が組むべきものではない。理事会で組むべきものなのだ。そのような考え方を持つと、各費用項目の相場価格(適正価格)が必要になってくる。そこで前述の必要性と結びつくわけだ。
管理組合が管理会社に合せる必要はない。管理組合に管理会社が合せてもらう。この考え方も管理組合のかしこさと言える。
管理組合というのは、適正な管理を行っていくために設けられた組織である。かしこさを持つこと、他の記事でも同じことを書いているのだが、本当に大切なことだと思う。