防災対策

マンションの断水への備え

2017年7月6日

 

マンションの生活に欠かせないのが電気と水道、ガス仕様になっているマンションでは当然ガスも欠かせない。

電気のスイッチを押せば灯りがともり、水道のレバーを上げれば水が出る。ワンタッチでこれらが使えるから、とても便利な時代に私たちは生きている。

少し余談になるが、水道のレバーハンドルは下げると水が出るタイプもある。最近はレバーの給水方法は上げるのが主流になっている。地震などで落下物がレバーにあたる(下がる)と水が出てしまう。二次災害に繋がるからこれを防ぐ目的で下げ止め方式(上げ給水)になったと聞く。

普段生活する中で、電気や水道が当たり前に使用できるから、使えなくなったらときの危機管理ができていない。今後、地震や自然災害などにより、停電や断水がいつ起きてもおかしくはない。

当たり前に使用しているものが、もし急に使用できなくなるとしたら…

マンションの設備の維持管理は、管理組合で行う必要がある。ある程度の予備知識は持つべきであろう。

今回、「断水の予備知識」、これをテーマに語りたい。



停電によって断水する

マンションによって給水方式は色々ある。

▶ 受水槽方式

貯水槽に一時的に水を貯水してから各戸に給水される方式

▶ 直結増圧方式

水道管からの水を給水装置(増圧ポンプ)によって直接各戸に給水する方式

一般的にマンションに普及しているのはこの2つだ。

水道本管から直接給水できるのは4階程度の建物である。それを超える建物では、水道本管の圧力が足りないから、給水ポンプによって圧を加える必要がある。

最近は、貯水槽を用いない直結増圧方式が主流になっている。

これらの給水装置は電気がなければ作動しない。だから、停電が発生した場合に水が止まってしまう。

屋上に高架水槽が設置されているマンションでは、このタンクの中に溜まっている残量分の水は使用できるが、それが尽きれば水が止まる。

停電→ポンプが停止→水が止まる

 

断水後の水道水には注意

断水後に水を出すと茶色くなることがある。これは管内に付着した錆によるものだ。築40年以上のマンションでは亜鉛メッキ鋼管が使用され、多くのマンションでは硬質塩ビライニング鋼管が使用されている。鋼管では基本として赤水が出る。

最近は、高密度ポリエチレンパイプという赤水が出ない材料を使用しているマンションも増えてきた。

断水後に水道水に含まれるのは錆だけではない。管内に付着している汚れ(水垢)も含まれている。だから、しばらく放水してから使用することをすすめる。

それと、断水後に水の出が悪くなることがある。レバーハンドルの吐水口に取り付けられている網に錆などのゴミが詰まることによってそれが起きる。

なので、レバーハンドルやシャワーなどの水廻りの吐水口キャップや網などの清掃も必要になる。清掃方法については、機器の取扱説明書に記載されているが、紛失されている場合は、メーカーのホームページなどで確認することもできる。

 

断水したときに困るのがトイレ

断水の際に困るのがトイレである。本当にこれが使えないと困る。自然現象は抑えることはできないし、我慢すれば体に良くない(笑)。

計画停電であれば、それを事前に知れるから、浴槽に水を溜めるなどの対策は講じれる。だが、突発的なものは対策しようがない。

私の家庭では、空のペットボトルなどに水を入れ、トイレ用として常備している。今は夫婦2人だから数回分にはなると思う。

なぜ、そこまで用意周到なのか、それは昨年冬に、マンションの水道管が凍結して丸1日断水した。そこで得た教訓である。

トイレの携帯用ペットボトルも市販されている。このペットボトルは車のトランクにいつでも使えるように入れている。

 


 

-防災対策

執筆者:

関連記事

マンション災害|自分たちに出来ることは自分たちで考える!

  昨日、日本各地において記録的な大雨となり、特別警報とか避難指示が発令され、困惑された方が多いと思う。 地域によっては交通機能が麻痺し、足止めを食らい、自宅に帰れない方やホテル泊まりなどを …

台風は本当に怖い!平成元年台風19号から得られた5つの教訓!

  予測不能、それが天災の脅威 台風というのは毎年夏から秋にかけて20~30発生し、その多くが日本列島に接近しています。そこで台風の進路などの様々な情報を私たちはニュースなどで知り得ますが、 …

マンションの災害への備え|防災備蓄品について!

  自然災害の多い日本 日本は外国に比べて、台風、集中豪雨、洪水、土砂災害、地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土と言われれいます。 日本の国土の面積は、全世界のたった0.28 …

消毒用アルコールは火気の近くで使用しないこと!

  新型コロナウイルスの感染予防対策で消毒用アルコールを使用する機会が増えていますが、使い方によっては、火災の原因になるので注意が必要です。 昨日、今朝のニュースで、東京消防庁より消毒用アルコールによ …

マンションの災害への備え|防災リュックについて!

  最近の新築マンションは、地震対策が施された仕様になっています。揺れて感知して消火するガスコンロ、食器が飛び出さない吊戸棚、ドア枠が歪んでも開閉可能な玄関口、閉じ込められないエレベーターな …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー