マンションの生活に欠かせないのが電気と水道、ガス仕様になっているマンションでは当然ガスも欠かせない。
電気のスイッチを押せば灯りがともり、水道のレバーを上げれば水が出る。ワンタッチでこれらが使えるから、とても便利な時代に私たちは生きている。
少し余談になるが、水道のレバーハンドルは下げると水が出るタイプもある。最近はレバーの給水方法は上げるのが主流になっている。地震などで落下物がレバーにあたる(下がる)と水が出てしまう。二次災害に繋がるからこれを防ぐ目的で下げ止め方式(上げ給水)になったと聞く。
普段生活する中で、電気や水道が当たり前に使用できるから、使えなくなったらときの危機管理ができていない。今後、地震や自然災害などにより、停電や断水がいつ起きてもおかしくはない。
当たり前に使用しているものが、もし急に使用できなくなるとしたら…
マンションの設備の維持管理は、管理組合で行う必要がある。ある程度の予備知識は持つべきであろう。
今回、「断水の予備知識」、これをテーマに語りたい。
停電によって断水する
マンションによって給水方式は色々ある。
▶ 受水槽方式
貯水槽に一時的に水を貯水してから各戸に給水される方式
▶ 直結増圧方式
水道管からの水を給水装置(増圧ポンプ)によって直接各戸に給水する方式
一般的にマンションに普及しているのはこの2つだ。
水道本管から直接給水できるのは4階程度の建物である。それを超える建物では、水道本管の圧力が足りないから、給水ポンプによって圧を加える必要がある。
最近は、貯水槽を用いない直結増圧方式が主流になっている。
これらの給水装置は電気がなければ作動しない。だから、停電が発生した場合に水が止まってしまう。
屋上に高架水槽が設置されているマンションでは、このタンクの中に溜まっている残量分の水は使用できるが、それが尽きれば水が止まる。
停電→ポンプが停止→水が止まる
断水後の水道水には注意
断水後に水を出すと茶色くなることがある。これは管内に付着した錆によるものだ。築40年以上のマンションでは亜鉛メッキ鋼管が使用され、多くのマンションでは硬質塩ビライニング鋼管が使用されている。鋼管では基本として赤水が出る。
最近は、高密度ポリエチレンパイプという赤水が出ない材料を使用しているマンションも増えてきた。
断水後に水道水に含まれるのは錆だけではない。管内に付着している汚れ(水垢)も含まれている。だから、しばらく放水してから使用することをすすめる。
それと、断水後に水の出が悪くなることがある。レバーハンドルの吐水口に取り付けられている網に錆などのゴミが詰まることによってそれが起きる。
なので、レバーハンドルやシャワーなどの水廻りの吐水口キャップや網などの清掃も必要になる。清掃方法については、機器の取扱説明書に記載されているが、紛失されている場合は、メーカーのホームページなどで確認することもできる。
断水したときに困るのがトイレ
断水の際に困るのがトイレである。本当にこれが使えないと困る。自然現象は抑えることはできないし、我慢すれば体に良くない(笑)。
計画停電であれば、それを事前に知れるから、浴槽に水を溜めるなどの対策は講じれる。だが、突発的なものは対策しようがない。
私の家庭では、空のペットボトルなどに水を入れ、トイレ用として常備している。今は夫婦2人だから数回分にはなると思う。
なぜ、そこまで用意周到なのか、それは昨年冬に、マンションの水道管が凍結して丸1日断水した。そこで得た教訓である。
トイレの携帯用ペットボトルも市販されている。このペットボトルは車のトランクにいつでも使えるように入れている。