皆さん、本田宗一郎氏はご存知ですよね。世界に君臨するホンダの創業者で「ものづくり魂」「120%の良品」「叱りの哲学」などで後世に名を残された偉大な方です。
本田氏の残した名言、教えというのは、本当に学ぶべきところがたくさんあります。私はホンダが好きで、本田氏に関する本や記事などを若い頃からずいぶん読みあさっています。もちろん愛車はホンダです(笑)。
本田氏は、社員に対してとても厳しかった「雷オヤジ」の話は有名です。いい加減な仕事をすると顔を真っ赤にして叱ったそうです。ですが、それ以上に自分に対して厳しい方でした。
本田氏の教えの中で、考え深い記事がありますので、今回それをご紹介します。
殊にわが社のように、交通機関の製造に携わるものは、一つのビスの緩みが乗用者の生命に関係することを、常に念頭に置かねばならぬ。私どもにとって最も大切な顧客に怪我をさせ、生命を奪うに至っては、その罪を償うべからざるものである。
世に過失傷害罪とか、過失致死罪という罪があるが、この罪のうち、交通機関の製造に従事する者の罪があげられないことが、私には不思議である。交通事故の原因を厳重に調査するとき、運転する者の過失として処罰されているもののうち、製造する者の不注意に基くものが決して少なくないと思う。
急停止のブレーキをかけたが、その性能が充分でなかったとか、ナットが緩んでいたために運転の自由が利かなかったとかいうことは、運転者よりもメーカーの責任である。
わが社で車体の組立検査を終わった後に、ベンチテストを行ない、路上テストを行なった上、さらにビス検査をして故障の絶無を期しているのはこのためである。
私達はスピードによって能率を求める現代文化の尖端に立つことを自覚するとともに、自己の職業の重大さを深く反省し、インジェクターが名実ともに「セイフテイー・レーザー」であるごとく、自社の製品に対しては絶対に責任と自信を持つよう一層の努力をしなければならない。製品に対する最善最大の親切は、完全なものを作ることである。このことは同時に顧客に対する最善最大のサービスでもある。
出典:本田宗一郎/商品に対する親切/月報より抜粋
この記事を読んで皆さんどのように感じましたか? 私はこの記事を読んで、顧客の安全を何よりも優先し、メーカーの責任を正しく理解されていると感じました。これが世界最高の性能と品質を生み、世界のホンダに導いた原動力のように感じます。
それと顧客第一主義の在り方について、逆に私たちが問われているように感じます。この記事には出てきませんが、「120%の良品を目指せ」という意味深い本田氏の教えがあります。
100%を目指したんじゃあ、人間のすることだから、1%やそこいらのミスをする。
その1%を買ったお客さんには、HONDAは、100%の不良品をお売りしたことになってしまう。
だからミスをなくすために120%を目指さなければならないんだ。
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多くの企業は設立後10年を経たずして消えています。事業を継続する上で必要なことは何なのか? そのヒントが本田氏の教えの中に隠されているように思えます。
特にマンションを分譲する会社には、本田氏の教え「顧客の視点に立ったモノづくり魂」から何かを感じ取ってほしいですね。安全よりも売ることの方が優先されると手抜き工事やそれに起因する事故は起こり得ますし、現実問題として過去にそれは起きています。
世の中には色んな職業が存在しますが、モノづくりのみならずサービスの在り方について、何かを考えるきっかけになれば幸いです。
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kurumi