私たちの身近に潜んでいるのが災害です。全国各地で発生している地震や大雨による水害などのニュースは後を絶ちません。
最近では、「未曾有」「記録的」という言葉が用いられるほど予想をはるかに超える災害が発生しています。
特に地震は、日本に住む私たちにとって決して他人事ではなく遠方の出来事ではありません。そして、そう遠くない日に4つのエリアで大規模な地震が起きると言われています。
内閣府(中央防災会議)が発表している今後30年以内の大規模地震の発生確率は以下のとおりです。
▶ 東海地震(88%)
▶ 東南海地震(70%)
▶ 南海地震(60%)
▶ 首都圏直下地震(70%)
ちょっと怖いデータに思えますのは私だけ?
私は仕事で熊本の被災地を訪れた際、大地震によって被災されたマンションを目の当たりにしたとき、これまでの「マンションは強固」という考え方が一挙に覆され、とてもショックを受けました。
激しい揺れによって鉄筋コンクリートは押しつぶされ地震の怖さを思い知らされました。強固な建物をも壊す、それが地震です。
マンションの防災意識が低いのが現状
災害のニュースを目の当たりにすると防災意識というのは瞬間的に高まりますが、時間の経過とともにそれは薄れていくものです。「災害は忘れたころにやってくる」、この言葉の意義はそこにあると思います。
マンション毎に防災意識に違いがあります。定期に防災訓練を実施しているマンションもあれば、未実施のマンションもあります。
国土交通省が5年に1度マンション総合調査を行っていますが、その調査項目の中に管理組合の防災意識を窺い知れる統計データがあります。このデータからもマンション毎に防災意識に違いがあることが分かります。
管理組合の防災対策の現状(平成25年/マンション総合調査)
特になにもしていない | 29.2% |
定期的に防災訓練をしている | 37.7% |
避難場所を周知している | 25.1% |
防災用具を準備している | 26.9% |
災害対応マニュアルを作成している | 18.6% |
地震保険の加入率 | 43.2% |
この数字を見てどのように感じるかは読者の皆さんに委ねます。
防災に対する自らの意思を変える
災害時に自分たちを助けてくれる人はいない、この考え方を持つことが大切です。なぜなら、大地震が発生した場合、被災するのは自分たちのマンションだけではないからです。
地方自治体や委託先の管理会社も被災することが考えられますし、状況によっては地域一帯のあらゆるサービスの機能が停止したりもします。
なので、自分たちのことは自分たちで守る、この考え方が防災には欠かせません。
この考え方を持つことにより、マンションに設置されている防災設備に興味を持つようになります。この装置は何なのか、何の目的で設置されているのか、どうやって使うのか、そこに疑問が生まれます。
災害時にエレベーター内に閉じ込められた場合、どのように対処すればいいのか、どうやって外部と連絡をとるのか質問が生まれます。
避難する際にどうやって下に降りればいいのか、この地域の避難場所はどこなのか、色んなことを気にするようになります。
管理組合という組織は、マンションの管理を行うことだけが仕事ではありません。そこに住まう人を守ることも仕事だと思います。人の命は何よりも大切であり優先されるべきです。そこに規定など存在しません。
管理組合の話し合いの中で、もっと防災について語るべきです。子供やお年寄りへの配慮、マンションの避難経路、避難場所、防災訓練、消防訓練、設備把握、最寄りのAEDの設置場所など確認し合ったり、話し合うことはたくさんあります。
防災意識というのは互いに押し付け合うものではなく、自発的に持つべきものだと思います。